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「女の都」★★★★☆

フェデリコ・フェリーニ監督の1980年の作品です。一人の中年男性が、フェミニズムの園に紛れ込む話ですが、あまりの斬新な設定に度肝を抜かれます。個人的には大変ツボにはまった作品です。

 

主人公の中年男性スナポラツは、列車の中で一人の魅力的な女性に誘惑される。その女性が駅で降りて草むらの中へと歩いていくと、スナポラツはそのあとを追っていく。やがてたどり着いたのは、フェミニストの女性が大勢集まる怪しげな館。そこでは、女性たちが男からの自立や自由を求めて叫んだり、男の人形の股間に蹴りを入れる練習をしていたりしている。スナポラツは女性たちから糾弾され、館から出ていけと言われる。

スナポラツは一人の太った中年女性のバイクで駅まで送ってもらうことに。しかし、連れていかれたのは畑の中。そこで、スナポラツは中年女性に押し倒されて襲われそうになる。

かろうじて逃れたスナポラツは、今度は怪しげな若い女性たちの集団が乗るオープンカーに乗り込むことに。パンク・ミュージックに合わせてハイ・テンションで体を揺り動かしている女たちは、調子に乗ってピストルを取り出して飛行機を打ち落とそうとしたりしている。

この女性たちに車で轢かれそうになったスナポラツは、今度は怪しげなカッツオーネという博士の館に転がり込む。そこでは、カッツオーネ博士が1万人目の女をものにするということで盛大なパーティーが催されようとしていた。館の通路には数々の女性の写真が飾られ、ボタンを押すとその女性の喘ぎ声が聞けるようになったいた。

その館には、なぜかカッツオーネの妻の姿も。そして、パーティーの最中に女性警官たちが踏み込んできて、館を破壊するように命ずる。その女性警官たちの中には、先ほどスナポラツを押し倒そうとした太った女も混ざっている。

スナポラツは妻とベッドに入ったところ、トンネルの中へ。くぐりぬけると、そこには長い滑り台が。滑って落ちている間に、これまで出会った魅力的な女性たちの思い出がよみがえってくる。

滑り台が終わると、今度は女性たちから尋問にかけられ、プロレスのリングに上がらせられる。そのまま気球に乗せられ、気球が破裂し、気が付くとスナポラツは列車の中にいた。向かいの席には妻が座っている。スナポラツは夢を見ていたのだった。。。

 


La città delle donne -1980- Federico Fellini (Trailer ...

内容は至極くだらないといえばくだらないのですが、それを仰々しく映像に仕立て上げていて、フェリーニ監督らしい不思議なファンタジーの世界観を作り上げています。

こうした非現実的・非日常的な世界を映像として描けるところに、映画の醍醐味があります。フェリーニ監督はさすが映画の利点をよく心得ているなぁ、というのが率直な感想です。