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映画、書評、ジャズなど

「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」★★★☆

映画

 ハリウッド女優として絶頂期にモナコ公妃となったグレース・ケリーが、フランスとモナコの政治的対立の中で奮闘する様を描いた作品です。

 モナコ公妃となったグレース・ケリーニコール・キッドマン)のもとをヒッチコックが訪ねてくる。それは映画『マーニー』への出演依頼のためだった。グレースは女優復帰に前向きで、夫のレーニエ3世の理解も得られたかに思われたが、時はちょうどフランスのドゴール大統領がアルジェリアでの戦争で窮地に立たされており、モナコへ移転したフランス企業から税金を徴収してフランスに渡すようにモナコに圧力をかけていた時期だった。フランスはモナコへの道を封鎖するという強硬措置を取っていた。

 グレースの女優復帰話は厳重に管理されていたが、なぜかマスコミに漏れてしまう。フランスもそのことを盾にモナコに更なる圧力をかけてくる。どこから話が漏れたのか?フランスの内通者がモナコにいるのではないか?レーニエ3世もグレースの女優復帰に反対の立場を取るようになる。アメリカ出身のグレースに対するモナコ内の風当たりも強かった。

 グレースは探偵に探らせたところ、実はレーニエ3世の姉が弟のレーニエ3世を追放し、自らの息子にモナコを継がせようと企んでいたことが発覚する。

 グレースは状況を打開するため、ある秘策を実行に移す。それは、国際赤十字主催の舞踏会を開催し、世界中の首脳を呼び、そこでグレースが渾身のスピーチを行うというものであった。

 グレースはフランス語を学び、社交界のマナーを身につけるべく努力する。そして、いざ舞踏会の日、グレースは渾身のスピーチで出席者の喝采を得る。

 フランスはやがてモナコの封鎖を解除したのだった。。。


 映画の題材としては良いテーマを取り上げたと思います。ニコール・キッドマンの演技も思ったより似合っていたと思います。モナコ王室はこの作品を見て史実と異なるということで激怒したという情報もあるようですが、エンターテイメントの作品としてはまぁまぁ楽しめる作品には仕上がっているように思います。

 ただいくつか難点があったように思います。

 一つは、モナコの美しさが映像の中で十分に撮れていないように感じた点です。せっかくモナコを舞台にした作品なのですから、モナコの街並みや海辺の風景をふんだんに盛り込んだら、もっと充実した映像になっていたように思います。

 もう一点は、最後のグレース・ケリーのスピーチ。このスピーチが政治的苦境を打破する決めてとなったというストーリーですが、今ひとつ説得力が足りなかったように思います。

 ラストの演説が有名な映画作品としては、チャップリンの『独裁者』があまりにも有名ですが、その胸に突き刺さるような内容と比べると、グレース・ケリーのスピーチの内容ももう少し工夫の余地があったのではないかと感じてしまいます。

 惜しい点もありましたが、最後まで飽きさせない作品ではありました。