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映画、書評、ジャズなど

「ミッドナイト・イン・パリ」★★★★★

 パリという最高の舞台で、最高の夢を見させてくれる、私にとって最高の作品でした。
 アメリカ人の脚本家ギルは、脚本でなく小説で売れることを目指している。ギルは婚約者で実業家の娘のイネズと共にパリを訪れた。
 パリではイネズの両親と、イネズの友人の夫妻が滞在していたが、ギルはどちらとも相性が悪く、一人で夜のパリの街を彷徨うことに。
 道に迷ったギルが街中の階段で座り込んでいるところに、にぎやかな車が一台やってくる。強引に誘われたギルは誘われるがままに車に乗り込み、あるパーティーに連れて行かれる。そこにいたのが、スコット・フィツジェラルド夫妻だった。そしてピアノを弾いていたのはコール・ポーター。パーティーの主催者はジャン・コクトーだった。ギルは一瞬にしてエコール・ド・パリの時代に遡り、憧れの歴史上の人物たちと触れ合っていたのだった。フィツジェラルドに連れられて行った店にはなんとヘミングウェイが酒を飲んでいた。ギルは自分の小説をヘミングウェイに見てもらおうと懇願する。そして、ヘミングウェイが連れて行ったのはガートルード・スタインのサロン。そこにいたのは、愛人のアドリアナを描くピカソだった。
 ギルはその後、ピカソの愛人のアドリアナと一緒にさらにタイムスリップし、行き着いたのはベル・エポックの時代だった。タイムスリップを繰り返してギルが悟ったことは、未来から見て憧れの時代に生きる人びとは、実は退屈さを感じていたということであった。

 ギルはアメリカに戻らず、パリに留まる決断をする。。。

 この作品でウディ・アレン監督は、パリの街をとても魅力的に撮っているだけでなく、かつてパリで活躍した憧れの人物たちを惜しげもなく登場させています。ギルにとってこうした人物と出会うことがいかに望外の喜びであったかが存分に伝わってきます。

 こうしたあり得ないシチュエーションを表現できるのは、映画ならではの魅力でしょう。

 ウディ・アレン監督にとっても最高のファンタジーの世界を表現した作品であったように思います。