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「ボローニャの夕暮れ」★★★

ボローニャの夕暮れ [DVD]

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 第二次大戦前後のボローニャを舞台にした物語です。
 高校の美術教師をしていたミケーレ(シルヴィオ・オルランド)には、同じ高校に通うジョヴァンナ(アルバ・ロルヴァケル)という娘がいた。ジョヴァンナが男っ気がないことを心配していたミケーレは、高校の憧れの的だった男子生徒の進級問題に絡め、その男子生徒にジョヴァンナに気をつかって接するようけしかける。ジョヴァンナはすっかりその気になり、その男子生徒に付きまとうようになる。
 ある日、ジョヴァンナの友人のマルチェラが体育館で刺殺体で発見される。マルチェラは活動家の姪であったため、政治目的も疑われたが、それはジョヴァンナの犯行だった。隣人のセルジョがジョヴァンナを連行していき、一家の運命は一変する。
 ジョヴァンナは心神喪失ということで病院送りになる。ミケーレは学校をクビになり、妻のデリアはセルジョの計らいでかろうじて仕事を得る。ミケーレはジョヴァンナの病院に足を運ぶが、ジョヴァンナの症状は日に日に悪化していく。妻のデリアはジョヴァンナに面会に行くことをためらっていた。
 第二次大戦も終盤に近づき攻防が激しくなる中、ミケーレは妻のデリアとセルジョとの仲を疑って家を離れ、ジョヴァンナの病院の近くに引っ越してひっそりと暮らす。やがて、ジョヴァンナは退院し、ミケーレはジョヴァンナと一緒に暮らすようになる。
 ある日ミケーレとジョヴァンナが一緒に映画を見に行ったとき、妻のデリアと偶然遭遇する。やがて、3人は再び一緒に暮らし始めるのだった。。。


 正直、タイトルに惹かれ、夕日に染まるボローニャの街並みの光景を思い描いて観たのですが、印象はだいぶ異なりました。第二次大戦下において翻弄される人びとというテーマと、と娘の殺人をきっかけに家族が崩壊していくというテーマがあるものの、この2つのテーマがそれほど見事にはシンクロしていないところに、物足りなさを感じてしまう面はありました。娘の犯行以降娘と距離を置いていた妻が、最後の場面で男連れでばったり出会ったことをきっかけに再び家族が元に戻っていくという展開も、それほど説得力はありません。妻にどのような心境の変化があったのかという点を戦争の終結とも絡めて表現できていればもっと良かったと想いました。