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映画、書評、ジャズなど

「スミス都へ行く」★★★★☆

スミス都へ行く [DVD]

スミス都へ行く [DVD]

 長年見たいと思っていて見損ねていた作品の一つです。
 いかにもフランク・キャプラ監督らしい分かりやすい作品です。

 上院議員の一人が急逝したことから後継指名問題が勃発した。その州の上院議員は地元の有力者テイラーの言うなりで、テイラーが不正を働いて利益獲得を企てているダム建設の後押しをしてくれる人物が上院議員に指名されていた。その州から選出されているもう一人の有力な上院議員ペインも テイラーの手で操られていた。

 すったもんだした後継者選びの中で、結局後継として指名されたのは、地元で少年団長を務めるジェフ・スミス(ジェームス・スチュアート)だった。ジェフは政治には全くの素人だったが、地元の子供たちから絶大な支持を得ており、意気揚々とワシントンに乗り込んでいった。

 スミスのサポートをすることになったのが、女性秘書のサンダース(ジーン・アーサー)だった。ベテラン秘書のサンダースにとっては、政治の素人のスミスの面倒を見るのは子供の世話をするようなもので、当初はうんざりすることの連続だった。しかし、少年村の建設を夢見るスミスの真摯な姿勢に次第に共感していき、少年村建設の実現に向けた法案づくりを親身になってサポートする。

 同僚議員のペインもスミスの法案提出に協力をしてきたのだが、スミスが建設を考えている地点は、実は地元の有力者テイラーがダムを建設しようとしている場所だったのだ。このため、ペインはスミスの法案をつぶすため、スミスが少年村の候補地を事前に買い占め利益を得ようとしていたという虚偽の嫌疑を作り出し、上院議員から除名することを画策し始めた。ペインの美人な娘の色仕掛けを使ってスミスを誘い出し、スミスがいないところで議会はスミスの除名する方向で話をまとめてしまった。

 敬愛するペインに裏切られたスミスは絶望し、故郷に帰ることを決意する。途方に暮れてリンカーン像の前でしゃがみ込んでいた。そこにやってきたのが秘書のサンダースだった。サンダースは、ペインらが汚い手を使ってスミスを陥れようとしていることに反発を抱き、スミスの反転攻勢に知恵を貸そうと決意した。

 スミスの除名が議決されようという議会の当日、スミスはひたすら発言を続け、自らの潔白を訴えた。発言を止めない限り発言者は永遠に発言を続けることが認められていた。それを議場傍聴席で見守るサンダースは、スミスに合図を送り続けた。

 こうしたスミスの行動に対し、テイラーは地元のメディアに圧力をかけ、批判記事を書かせた。他方、スミスを支持する地元の子供たちも負けじと、スミスを応援する新聞を手分けして配布する。

 ペインはスミスを批判する声を集め、議場でそれを披露する。しかし、ペインはスミスを裏切ってスミスを陥れていることに耐えきれなくなり、ついに自らが悪事を働いていたことを暴露し、議員を辞めることを宣言したのだった。。。


 政治の腐敗に対して立ち向かう若者という極めて分かりやすい構図で、見方によってはくさい映画とも言えるのですが、この作品にはそれだけに留まらない奥深さもあります。

 この作品の一番の魅力は、スミスの秘書のサンダースのキャラクターの魅力にあると思います。自分の子供ほどの年齢のスミスに対して、最初はうんざりしていたのが、次第に共感していく様子の描き方は素晴らしいです。サンダースはいい年をして独身なのですが、スミスに対して母親のような感情を抱くとともに、どこか一人の男としてスミスを応援しているような感じもします。そのサンダースがリンカーン像の前でスミスを説得する場面は大変素晴らしいシーンでしょう。失意のまま故郷に戻っても子供たちは受け容れてはもらえない、だからワシントンで闘うべきだとスミスを促すのです。

 主人公のスミスのキャラクターにももちろん魅力はあるのですが、議場でひたすら発言を続ける光景は半ばげんなりする面もあります。それ以上にこの作品の魅力を高めているのはやはりサンダースであることは間違いありません。

 見終わった後にとても清々しくなる作品です。