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映画、書評、ジャズなど

「メリー・ポピンズ」★★★★☆

メリーポピンズ スペシャル・エディション [DVD]

メリーポピンズ スペシャル・エディション [DVD]

 20世紀初頭のロンドンを舞台にしたファンタジー映画です。

 バンクス(デイヴィッド・トムリンソン)はその名のとおり銀行の役員を務めており、生真面目に仕事に打ち込む父親で、子供の世話はメイドに任せていた。子供の世話係のメイドが辞めたために新たに募集をかけたところ、誤って子供たちが自分たちの望むメイドを書いた紙が市中に飛んでいってしまい、それを見てやってきたのがメリー・ポピンズジュリー・アンドリュース)だった。

 メリー・ポピンズが来て以来、バンクス家は一変。子供たちを大道芸人バートが書いた絵の中の国へと連れて行き、メリーゴーランドに乗って競馬を楽しんだり、狐と戯れたりして、子供たちを楽しませた。

 あるとき、バンクスが子供たちを自分が役員を務める銀行に連れて行った。息子は2ペンスのコインを持っており、鳩の餌を飼いたかったが、父親から銀行に預けるように諭される。銀行の頭取も2ペンスの預金を勧め、いやがる息子から2ペンスを取り上げたところ、息子が「僕の2ペンスを返して!」と叫んだ。すると、それを聞いた預金者たちが銀行から預金を引き下ろそうと殺到し、取り付け騒ぎに発展してしまった。

 この事態に怒った頭取はバンクスをクビにしてしまう。途方に暮れるバンクスだったが、頭取の前では狂ったように笑い、ポピンズから習った魔法の言葉を口にして陽気に銀行を去っていく。そして、家に帰ると、子供たちと一緒に凧揚げを楽しむ。

 ポピンズはバンクス家から去らなくてはならなかったが、バンクス家は父親と子供たちが楽しむ家に様変わりしていた。銀行の頭取もバンクスから教わった魔法の言葉で陽気にこの世を去っていき、それを喜んだ頭取の息子から、バンクスは銀行への復帰を告げられたのだった。。。


 ところで、この映画は通貨の本質を的確に表現している面があります。『マネーの進化史』という本を書いたニーアル・ファーガソンがこの本の中で『メリー・ポピンズ』に言及しています。

マネーの進化史

マネーの進化史

 ファーガソンは2006年に出席したある会議で講演し、その中でファーガソンは、言い時代が永遠に続くとは期待してはいけないし、ちょっとしたころで株価の暴落が誘発されないとも限らないと述べたそうですが、その後あるベテラン投資家が会議の事務局に提出した文書の中で、「来年の会議には外部からわざわざ講師など招ぶのはやめて、『メリー・ポピンズ』のように楽しい映画でも上映したほうがマシだ」と直言したのだそうです。

 しかし、『メリー・ポピンズ』の中で起こったような取り付け騒ぎというのは、今日の銀行と全く無縁ではありません。現に、2007年9月にイギリスのノーザンロック銀行では取り付け騒ぎが起こっています。

 まぁ、そんなシリアスなテーマを見なくても、この作品は十分楽しめます。仕事一筋に打ち込んで家庭を顧みてこなかった頑固な父親が銀行をクビになって始めて家庭で家族たちと過ごす幸せをかみしめるようになったという展開は、どこかホッとさせるものがあります。

 そして、作品中に登場する音楽がとても幸せな気分にさせてくれます。