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「レ・ミゼラブル」★★★★

 全編ミュージカル仕立てで2時間半を超える超大作です。原作はご存じヴィクトル・ユーゴーですが、原作の映画化ではなく、あくまでミュージカルの映画化というところがポイントです。

 ジャン・バルジャンヒュー・ジャックマン)は、貧困で飢えている妹の子供のためにパンを盗んだ罪で19年間投獄された後、仮釈放されたが、その直後に厚意を施してくれた司教から盗みを働いてしまう。バルジャンは捕らえられて司教の前に引っ張り出されたが、司教はその銀皿はバルジャンに与えたものだと言ってバルジャンの罪を見逃した。バルジャンはその慈悲に心を打たれて改心し、その後、工場のオーナーと市長という立場にまで上り詰める。

 バルジャンの工場で働いていたファンテーヌ(アン・ハサウェイ)は、密かに娘がいることが周囲にばれ、工場を追放され、子供を養う金を賄うために娼婦となる。バルジャンは娼婦となったファンテーヌを発見し、その真相を知ることになる。バルジャンは病に倒れたファンテーヌによって娘コゼットの面倒を託された。一方、バルジャンの正体を知る警官のジャベール(ラッセル・クロウ)は執拗にバルジャンを追いつめ、バルジャンはコゼットを連れてパリに逃亡する。

 パリでバルジャンを養父として美しく成長したコゼットは、革命に身を捧げるマリウスという若者と恋に落ちる。マリウスらは密かに潜入していたジャベールを捕らえ処刑しようとしていたが、その扱いを任されたバルジャンは、温情でジャベールを殺さずに解放した。その後、革命戦士たちは劣勢に立たされ、バリケードは攻撃される。バルジャンは瀕死のマリウスを抱えて脱出を図るが、ジャベールに追いつめられる。ジャベールはバルジャンからの借りのためにバルジャンにとどめをさすことができず、そのままジレンマに苛まれながら橋から転落して命を落とす。

 マリウスはコゼットと結婚式を挙げるが、実の娘のようなコゼットを失うバルジャンはコゼットに内緒で姿を消す。その後、バルジャンが修道院にいることを知ったマリウスとコゼットは修道院に駆けつけるが、バルジャンは故ファンテーヌによって天国へと導かれていったのだった。。。

 この作品の売りは、歌が口パクではなく、役者が本当に歌っているのを撮っているという点です。確かに、歌の迫力が凄まじい勢いで伝わってきます。全編ほとんど間断なく音楽が流れており、大変充実した作品です。

 民衆が革命に歓喜の声を上げる最後の場面では思わず胸が熱くなりました。が、ふと考えてみると、一体どこにこれほど感動しているのだろう??と思ってしまう自分もいました。圧倒的な音楽と映像の迫力で思わず感極まってしまうのですが、ただこのレ・ミゼラブルという作品自体のストーリーがそこまで感動的なものかと問われれば、少し考え込んでしまいます。

 この最後の場面を是非ともミュージカルで見たみたらもの凄く感動的なのではないかと思いました。