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映画、書評、ジャズなど

「ティファニーで朝食を」★★★★☆

映画

ティファニーで朝食を [DVD]

ティファニーで朝食を [DVD]

 オードリー・ヘップバーンの代表作の一つであまりにも有名な作品です。

 あらすじについては、以前本を読んだときの記事がありますので、そちらを参照していただければと思います。
http://d.hatena.ne.jp/loisil-space/20080629/p1

 原作と映画でいくつか異なる点があります。

 原作の最後は、ゴライトリーは海外に高飛びして行方知らずとなりますが、映画では、雨の中でゴライトリーの飼う猫を見つけた後、主人公と結ばれたかのような終わり方です。また、麻薬密輸の関与で逮捕された際に、ゴライトリーはホセとの子供を妊娠していたという設定でしたが、映画ではそうした設定はありません。

 ゴライトリーのミステリアスなキャラクターを強調しようと思えば、どちらかというと、原作のような終わり方の方が良かったかもしれません。しかし、映画の方はやはりヘップバーンの魅力があまりにもすばらしく、それだけでも歴史に残る作品となっているように思います。『ローマの休日』で王女を演じたかと思えば、本作品では奔放なキャラクターを演じるという幅の広さこそ、ヘップバーンの特徴でしょう。カポーティはヘップバーンのキャスティングについては少なからず不快感を表したそうですが、結果的にはピッタリです。

 ヘンリー・マンシーニの音楽もあまりにも素晴らしいです。 本の書評記事でも書きましたが、この作品は、ゴライトリーのキャラクターの魅力が実に光っています。奔放で男を乗り換えていきますが、内心はピュアです。境遇に恵まれない中、必死に生きているけなげさが、見る者をほっとけない気持ちにさせます。

 映画の最初の方で、ゴライトリーがときどき嫌な「赤い気分」になるという言い回しをする場面があります。ブルーな気分とは違って、赤い気分は最悪で、訳もなく不安でたまらなくなる。そんなときに心を癒してくれるのが、ティファニーの店構えや静けさだというわけです。奔放な裏でそんなか弱さを持つゴライトリーのキャラクター設定が実に見事です。

 この頃からニューヨークの魅力というのは変わっていませんね。映画でも独特の躍動感を感じる街がうまく撮られています。