読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる
映画、書評、ジャズなど

「菊豆」★★★★☆

菊豆 [DVD]

菊豆 [DVD]

 昨晩見た「紅いコーリャン」が後味の悪い映画だったので、同じチャン・イーモウ監督の作品で「菊豆」を鑑賞しました。初監督作品の「紅いコーリャン」から3年後の作品で、主演女優も同じくコン・リーですが、はるかに洗練されており、再びチャン・イーモウ監督作品が好きになることができました。

 菊豆(コン・リー)は、初老の染物屋の楊金山の下にお金で買われて嫁ぐが、毎日のように折檻を受ける日々が続く。そんなとき、楊金山の甥の天青が自分の風呂を覗いているのを菊豆が見つけ、2人は密かに恋に落ちる。菊豆は天青の子供の天白を授かるが、菊豆は楊金山の子供だと偽り続ける。そんな中、楊金山は病に倒れ半身不随になる。菊豆は天白は天青の子供であることを告げ、半身不随の楊金山をさしおいて、天青との仲睦まじい生活を送る。
 楊金山は2人に復讐するために、家に火を着けるが、危うく消し止められ、楊金山は菊豆、天青の2人から虐げられる生活を送るようになる。
 そして楊金山は染料に溺れて溺死するが、それを見ていた天白は薄気味悪く笑う。
 染物屋の跡取りは天白となり、天青は家から追い出されたため、菊豆と天青は外で逢瀬を交わすことになる。地下室で逢瀬を交わしていた2人は気を失い、それを発見した天白は天青を染料の中に投げ込み殺害する。それを目撃していた菊豆は、染めた布に火を着ける。。。

 壮絶なストーリーです。さんざん菊豆を折檻した末に半身不随の身となり、今度は菊豆から復讐される楊金山の姿には哀れみすら感じてしまいます。また、物心ついてきた天白が楊金山の溺死を笑い、天青に復讐するシーンは背筋がゾッとします。この辺の巧みな描写はさすがチャン・イーモウ監督です。そして、チャン・イーモウ監督の一番の魅力は、「優雅な衰退美」ともいうべき映像美です。まぶしい太陽光線を効果的に使っている手法はさすがです。優雅なものが滅び行くときが一番輝く瞬間であると思いますが、この作品でも、染物屋として繁栄を誇った楊一族が滅び行く過程を映像美で表現した作品といえます。

 チャン・イーモウ監督ファンにとっては必見の作品です。