- 出版社/メーカー: ジュネス企画
- 発売日: 2007/10/25
- メディア: DVD
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「陸軍省の機密文書にX27と記された人物がいた。偉大なスパイになったろう。もし女でなかったならば。」
という冒頭の字幕が、女スパイの行く末を暗示しています。
オーストリアのウィーンで1人の女性(マレーネ・ディートリッヒ)が諜報機関によってスパイに引き込まれた。彼女はX27と名づけられ、その美貌を武器にターゲットの秘密を入手した。
そんな中、オーストリア軍に潜り込んでいるロシアのスパイであるクラノウが彼女のターゲットとなった。クラノウはロシアに戻り、X27はロシアにスパイとして潜入し、兵舎の家政婦を演じていたが、そこでクラノウに捕らえられる。X27はクラノウに睡眠薬を飲ませて逃亡し、ロシアの機密を持ち帰った。
その後、オーストリアはロシアに攻め込み、ロシア人の捕虜を捕まえるが、その中にクラノウが混ざっていた。クラノウに恋愛感情を抱いていたX27は、処刑前のクラノウを逃がしてやった。このため、X27はオーストリアの手によって銃殺刑に処せられたのだった。。。
この作品は音楽が作品の重要な要素となっています。♪ドナウ川のさざ波が何度も演奏されますが、それがX27の哀しい未来を暗示しているかのようです。
X27がロシアの諜報活動で得た機密を音符にしますが、クラノウはその楽譜を一度演奏して燃やしてしまいます。しかしX27はその旋律を覚えていて、オーストリアに帰国すると覚えている旋律を元に暗号を再び音符に書き起こします。この辺の巧妙な仕掛けには思わず感心させられます。
処刑前のX27が演奏する♪ドナウ川のさざ波は大変陰鬱で、戦争という理不尽な行為に対する抗議の音色に聞こえてしまいます。1931年に製作された作品ですが、反戦的要素が込められていることは明らかです。この数年後には第二次世界大戦が勃発してしまうわけですが、そんな微妙な戦間期の暗い世相がうまく表現された作品です。
映画の最後のシーンはグッと心の芯に訴えかける迫力があります。