- 出版社/メーカー: アイ・ヴィ・シー
- 発売日: 2008/01/26
- メディア: DVD
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作品の冒頭、ローマの上空をヘリコプターにぶら下げられた巨大なキリスト像が飛来するシーンで度肝を抜かれます。
主人公マルチェロは、婚約者がいるジャーナリストだが、多くの女性たちと触れ合っている。アメリカから来た大物女優がやってきて触れ合ったり、マルチェロの父親がひょっこり現れたり、マリヤ様を見たという子供たちを民衆が騒ぎ立てたり、もうそれは支離滅裂な乱痴気シーンが続きます。虚無的、退廃的、デカダンスといった言葉がピッタリな雰囲気が映画の冒頭から最後まで続きます。
最後は、パーティーのメンバーたちが海岸に繰り出し、地引き網に引っかかった怪物のような生物を引き上げているシーン。そこでマルチェロは、かつて出会った少女と再会するが、波の音で彼女が言っている言葉が聞こえないまま、その場を後にする。
フェリーニの作品は、見終わった後、何とも言えない心地よい虚脱感が残ります。この作品も、ストーリーのつながりを理解しようとしてもなかなか難解ですが、主人公の強い意志を持たず流れに身を任せる生き方が共感できます。村上春樹の小説に出てくる主人公と何か共通性を感じたりします。
見れば見るほど味が出るような作品でした。