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映画、書評、ジャズなど

「ドラゴン・タトゥーの女」★★★★

映画

http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD18849/index.html
 早速鑑賞してきました。

 概ね原作に忠実なので、以前の原作に係る記事をご覧いただければと思います。

スティーグ・ラーソン「ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女」 - loisir-spaceの日記

 スウェーデンの荒涼とした風景、スウェーデンにおけるナチスの強い影響、そしてロシアから流入してくる多くの娼婦の存在など、映画を通じて知るところが多々あります。

 以前公開された別バージョンの作品でも原作と難点か異なった点が多々ありました。

「ミレニアム ドラゴンタトゥーの女」★★★★ - loisir-spaceの日記

 今回の作品でも、例えば、原作ではハリエッタはオーストラリアで生きているという設定でしたが、この作品ではハリエッタはアニタとして生きていることになっています。

 そして、もう一つ重大な変更は、ミカエルとリスベットの関係です。前作でもそうでしたが、映画ではミカエルとリスベットは恋に落ちてベッドを共にする関係になりますが、原作ではリスベットはミカエルに密かに思いを寄せ、それを伝えようとしたところで終わります。

 この変更は映画全体の流れにとって決定的といえます。この作品では、最後の場面は原作に忠実で、ミカエルに思いを伝えようとしたものの、ミカエルとエリカが親しくしている光景を目の当たりにして、断念します。これは、ミカエルとリスベットの関係が恋に発展していないからこそ説得力があるわけですが、2人が散々ベッドを共にした後では、リスベットのピュアな魅力が全然伝わってきません。リスベットがかつての後見人に対して、友達ができたと告白する場面がありますが、散々ベッドを共にした後で「友達」ではつじつまが合いません。

 そもそもこの小説の最大の魅力は、リスベットというキャラクターの魅力です。青木保氏は『作家は移動する』の中で、このリスベットというキャラクターを村上春樹氏の『1Q84』の青豆と比較して、

「・・・『ミレニアム』の主人公リスベット・サランデルが青豆の「同類」として大きな存在感を示している。」

と述べ、青豆にしてもリスベットにしても、原則を有する主人公である「コード・ヒロイン」だとしています。
青木保「作家は移動する」 - loisir-spaceの日記
 リスベットというキャラクターは、ある面においては極度にストイックな原則に基づいて行動する人物像だからこそ、その魅力が際立つのであって、安易にミカエルをベッドに誘うようなキャラクターでは、その魅力は大幅に減じられてしまいます。

 映画というメディアの性格上、ラブシーンを入れることは必須だから仕方がないのかもしれませんが、少し残念な改編ではありました。

P.S.本作品の冒頭の挿入歌です。