- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2007/05/26
- メディア: DVD
- クリック: 11回
- この商品を含むブログ (13件) を見る
弁護士のマリアンはかつて結婚して別れた元夫ヨハンの別荘を突如として訪ねる。ヨハンは離婚後に別の女性と結婚し、その子供と孫がいた。マリアンはしばらくヨハンのところで過ごすことになる。
ヨハンは息子のヘンリックと不仲だった。ヘンリックにはその妻アンナとの間に娘のカーリンがいたが、アンナの死後、ヘンリックはカーリンに対して過剰なまでに音楽教育を強いて、カーリンを追いつめていた。マリアンはそんなカーリンの良き相談相手となった。
ヘンリックはカーリンにチェロを買い与えるための資金をヨハンに無心したが、ヨハンはこれを拒絶する。
ある日、ヨハンのもとに、知人から音楽学校への入学を勧める手紙が届いた。ヨハンはこのことをヘンリックに言わずにカーリンに伝え、カーリンはヘンリックのもとを離れて音楽学校に入学することになった。
カーリンを失ったヘンリックは動揺し、自殺を試みたが、死にきれなかった。
マリアンはヨハンとベッドを共にしたが、しばらくして再びヨハンのもとを離れていく。
マリアンには別に2人の子供がおり、そのうちの一人の娘は障害を持っており療養所にいた。ヨハンのもとを離れたマリアンは、娘に会いにいった。。。
ベルイマン監督らしく、時間が淡々と進んでいく作品です。ベルイマン監督の作品は、人間の心の奥底のどろどろした物をこれでもかというほどあからさまに表現するものが多いように思います。この作品でも、ヨハン−ヘンリック−カーリンという祖父、父、娘の三者の人間関係を赤裸々に表現しています。
この作品は、晩年のベルイマン監督が、20年ぶりに突如として発表した作品ですが、人間の晩年についてつくづく考えさせられます。晩年に再びひとときの愛情を取り戻すヨハンとマリアンの関係はとてもピュアで素敵です。他方、ヨハンとヘンリックとの親子関係は、晩年のヨハンを悩ませ続けます。そんなヨハンの晩年が幸せかどうかは難しい問題ですが、おそらくベルイマン監督は自らが晩年に入って、いろいろ思うところがあったのでしょう。この作品にはおそらく、ベルイマン監督の晩年観が盛り込まれているのではないかと思います。
深い作品です。