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「大いなる西部」★★★★☆

 アメリカの広大な西部の土地を舞台にしたスケールの大きな作品です。

 東部の紳士ジェームズ・マッケイ(グレゴリー・ベック)は、西部の有力な一族のテリル家の娘パットと結婚するために西部にやってきた。そこでは、広大な荒野を舞台に、テリル家とヘネシー家が水源を巡って熾烈な抗争を繰り広げていた。

 ジェームズは到着すると早速ヘネシー家の人々から手痛い洗礼を受けた。これに怒ったテリル家はヘネシー家の集落に押しかけ、一触即発の状況になった。そんな状況を目の当たりにしたジェームズは、暴力の連環を断ち切ろうと心に誓う。

 地域の水源があるビッグマディを所有しているジュリーは、これまであらゆる部族に平等に水を提供してきた。ジェームズはジュリーに対して、ビッグマディを譲ってくれるよう求め、ジュリーはこれまでどおり平等に水を提供することを前提に応じた。

 一方、ヘネシー家はジュリーを取り込んで水源を手に入れようとしてジュリーを監禁する。ジェームズはジュリーを救い出そうと、丸腰でヘネシー家に乗り込んでいく。そして、ヘネシー家の息子バックと早撃ちで勝負をつけることになるが、バックの卑怯な振る舞いを見て、父親はバックを射殺する。

 ジュリーを救い出そうとするテリル家の軍団もヘネシー家の住む谷に近づいていた。最後は両家の首領同士の一騎打ちになり、両者は相打ちして命を落とした。。。


 “The Big Country”という原題のとおり、実にスケールの大きな映像が展開されます。『アラビアのロレンス』のような印象です。

 考えてみれば、これだけ広大な敷地ですから、秩序を維持することは並大抵のことではありません。いざこざが起こったとしても、それを取り締まる保安官事務所が数百キロ離れていれば、駆けつけるまでには事が解決してしまっているという事態になりかねないわけです。だから、それぞれの集団は自ら武装してある程度自衛しないと、とても安全を守ることができません。そういう背景を考えると、この作品の物語はより一層説得力を増してきます。

 この作品では、数多くの馬が出てくるわけですが、よく撮れたなぁと思うシーンが数多くありました。ジェームズがじゃじゃ馬を飼い慣らしていくシーンは、馬のリアクションが実に的確で驚きです。

 やはり名作と言われるだけあって、見た後もしばらく呆然としてしまうような迫力のある作品でした。