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映画、書評、ジャズなど

金沢ジャズストリート2日目

 2日目は天候にも恵まれ、昨日とは打って変わってジャズ日よりとなりました。

聖和学園高等学校吹奏楽

 被災地から招かれた高校生バンドです。これまで数々のコンテストに出場し、受賞してきている実力派のバンドです。ホールでの演奏でしたが、その高校生らしからぬレベルの高さに圧倒されました。

 ♪Birdland, ♪Sing Sing Sing, ♪In the Mood, ♪上を向いて歩こうなど定番の曲のほか、ヴァン・ヘイレンの♪JumpやDeep Purpleメドレーなど、楽しそうに意気のピッタリ合った演奏を展開し、とても高校生とは思えない完成度の高いステージに、聴衆は大喝采を送っていました。

 この学校の吹奏楽部でも部員一人の命が先般の大震災で失われたそうです。津波で大きな被害を受けた中で練習を積み、こういうホールで大勢の聴衆の前で演奏し、喝采を浴びることがどれだけ励みになるか、想像に難くありません。

 この金沢ジャズストリートの出演というきっかけで金沢を訪れ、金沢の人たちとライブを通じた交流を繰り広げることは、とても大きな意義を持つことだと思います。ジャズ・フェスの新境地を開いたような気がします。

国立音楽大学ニュー・タイド・ジャズ・オーケストラ

 昨日、尾山神社でのライブが雨で中止になったため、香林坊のポケットパークでのステージを見に行きました。開始30分前から既に聴衆が席を埋めており、金沢での人気の高さが窺えます。このステージを楽しみにしている人たちも結構いるようです。

 カウント・ベイシーのナンバーなどが繰り広げられ、大変レベルの高いステージでした。おそらくプロのミュージシャンを目指している人たちも多くいるでしょうから、レベルの高さは当然といえば当然かもしれませんが、こういうバンドの演奏が毎年、街角で無料で見られることは、このジャズ・フェスがもたらす大きなメリットでしょう。おそらく全部で500名くらいの聴衆が小さなポケットパークに詰めかけ、喝采を送っていました。


尾山神社の学生ライブ

 このジャズフェスの中でもっともユニークなシチュエーションが、神社の中でのジャズ演奏でしょう。前日は雨天で中止になってしまいましたが、2日目は被災地の学校から招待された学生バンドが演奏を繰り広げ、集まった多くの聴衆から拍手喝采を受けていました。
 この日は、東北工大高&東北工大、岩手大学東北大学の3つの学校による演奏でした。

 いずれのバンドも、震災の影響で思うような練習ができない状況の中、この金沢ジャズストリートに招待されたことが励みとなったということのようでした。これが今回のジャズフェスの中でももっとも意義ある交流であったと思います。
ホールで演奏した聖和学園高校もそうですが、こうした形で招待された学校の生徒たちは、金沢の人々の温かい拍手に感動し、金沢を好きになって帰ったに違いありません。いずれまた金沢に来てみたいと思うことでしょう。

 こうした交流が金沢のイメージ向上にとってどれだけ貴重なものであるかは、言うまでもありません。


2日目総括

 2日目は、ホールでの演奏が今ひとつといったところでした。聖和学園の演奏は素晴らしかった反面、例えば海外勢のMarc Miralta Quartetはスペインのドラマーを中心とするバンドの演奏内容はちょっと「うんっ??」といった感じ。オリジナル曲中心で分かりづらかった面はあるにせよ、この程度の楽曲だったら、スタンダード曲をきっちりと演奏してほしい、という強い思いを抱いてしまいました。

 片倉真由子トリオの演奏では、川嶋哲郎のサックスが入ったことで、ステージにしまりがもたらされました。フリージャズさながらの高音を駆使しながら変幻自在に演奏するスタイルは、聴衆を惹き付けていました。

 それにしても、プロ、アマ、学生バンドがこれだけ一同に集結するジャズ・フェスは他にはありません。既に、金沢に招待されるということが一つのステイタスになりつつあるような印象すら受けます。

 これだけ盛大にやるには、それなりのお金もかかりますが、こういうイベントは、小分けにして中途半端にやるよりも、一個のイベントを盛大にやる方が効果的なのです。この辺をわきまえている地方自治体は案外少なく、インパクトの小さなイベントを数多く手がけてしまい、結局、どれも中途半端に終わってしまうことになりがちです。

 また、この金沢ジャズストリートの良さは、内輪の盛り上がりになっていない点です。こういうイベントを地方自治体がやると、大体、地元のミュージシャンばかりが参加する会になってしまい、レベルも低く、つまらないものに終わってしまいがちです。ところが、この金沢ジャズストリートは、地元のミュージシャンの出番ももちろん用意されているのですが、それだけでなく、国内・海外から実力のあるミュージシャンや学生たちを招聘しています。だから、地元金沢の人たちもそれを一目見ようと足を運ぶわけです。そこで、金沢市の人と外の人との交流も生まれます。現に今年は韓国の仁川との強いつながりが生まれました。金沢に招かれた全国の学生たちは、金沢の人々の温かいもてなしや歓迎に強い印象を抱き、金沢ファンになって帰っていき、いつかまた金沢に来たいと思うようになるはずです。それがどれだけ金沢のイメージにとってのメリットになっているかは計り知れません。

 このジャズ・フェスは、わずか3回にして、国内の地方のジャズ・フェスのトップのステイタスを築いたような気がします。金沢市民にも既に定着したイベントとなっています。

 この金沢ジャズストリートは、地域活性化、地域交流の一つのモデルとして捉えることができると思います。