- 出版社/メーカー: IVC,Ltd.(VC)(D)
- 発売日: 2009/08/05
- メディア: DVD
- 購入: 1人 クリック: 104回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
思春期を迎えた少年ローランは、母親に溺愛される三男であった。上の2人の兄はローランを売春宿に連れて行くなど、悪戯をされながら性について手ほどきを受けている。
ローランは厳格な父親に対して反発する一方、母親に対しては愛情を抱いていた。母親は父親以外の男と遊んでおり、ローランは激しい嫉妬を抱く。
ローランはボーイスカウトのキャンプ中に熱を出し、しばらく母親と共に鉱泉療養所に滞在することになる。美しい母親は療養所でも人気だった。療養所には同世代の少女たちも滞在していたが、ローランは母親以外の女性は眼中に入らなかった。
母親は恋人の男と数日間出かけてしまったが、数日後、恋人から離婚を迫られて憔悴した状態で帰ってきた。
革命記念日に参加した後帰宅した2人であったが、母親の服を脱がせてあげているうちに、深い関係に陥ってしまう。母親はローランに対して、このことは2人だけの秘密であり、やがて懐かしい想い出として振り返ってほしいと伝える。
その後、ローランは同世代の少女たちの部屋に押しかけ、うち1人の少女とベッドを共にする。朝方、慌てて靴もはかずに部屋に戻ると、そこには父親と2人の兄が訪れて朝食を取っていた。3人は朝帰りのローランをからかう。母親もその輪に加わり、家族は全員で思わず笑い出してしまったのだった。。。
ローランの母親に対する一線を越えた感情が作品全体に重くのしかかり、憂鬱な空気が作品全体に漂っているのですが、母子が深い関係に踏み込んだことをきっかけに逆にローランの感情は吹っ切れ、最後は家族全員の笑い声で終わるところに、この作品の構成の巧妙さが現れています。重いテーマであるにもかかわらず、なぜか見終わった後に清々しさに近い後味が残るのが不思議です。
今回この作品はある小さな映画館でのルイ・マル監督特集で鑑賞したのですが、『死刑台のエレベーター』と続けて鑑賞しました。
『死刑台のエレベーター』については以前このブログでも紹介していますが、
「死刑台のエレベーター」★★★★☆ - loisir-spaceの日記
この作品はご存じマイルス・デイヴィスが即興で音楽を付けていることで知られています。改めて見てみると、ストーリーの巧妙さのみならず、カメラワークの巧さ、絶妙な音楽といった全ての要素がしっかりと組み合わされた素晴らしい作品であることを実感させられます。
『好奇心』では主人公のローラン少年がチャーリー・パーカーやディジー・ガレスピーに熱中しているという設定となっており、ビバップのジャズがバックに頻繁に流れています。どちらもジャズの音色が作品の雰囲気を基底しているところが共通しています。
どちらも、ルイ・マル監督の良さが出ている作品でした。