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映画、書評、ジャズなど

バレンボイムの平和活動

 先日、ダニエル・バレンボイムが韓国と北朝鮮が対峙する軍事境界線の近くでコンサートを開いたとの記事を目にしました。

軍事境界線近くで平和願う演奏会
8月16日 4時5分
韓国と北朝鮮が対じする軍事境界線の近くで、15日夜、イスラエルアラブ諸国の音楽家を集めたオーケストラがコンサートを開き、朝鮮半島に一日も早く平和が訪れるよう願いを込めて演奏しました。
このオーケストラは、イスラエル国籍を持つ世界的な指揮者ダニエル・バレンボイム氏が、音楽活動を通じて中東和平を実現しようと、イスラエルアラブ諸国の若手音楽家を集めて結成したもので、15日夜、韓国のイムジン閣の野外会場で、およそ7000人を集めてコンサートを開きました。15日は、朝鮮半島が日本の植民地支配から解放された記念日にあたり、バレンボイム氏は、中東だけでなく朝鮮半島にも一日も早く平和が訪れてほしいという願いを込めて、ベートーベンの交響曲第九番などの指揮を執りました。コンサートは2時間近くにわたって行われ、観客の1人は「世界で唯一分断状態にある朝鮮半島で、韓国から北朝鮮に平和のメッセージが届いたと思う」と述べるなど、それぞれ平和への思いを新たにしていました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110816/t10014931091000.html

 バレンボイムといえば、そのピアノテクニックに加え、イスラエルパレスチナの音楽家たちを集めて、ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団を結成し、平和を訴えて演奏活動を続けていることでも有名ですが、その彼がこの時期に朝鮮半島で平和を願うコンサートを開催したことは、大変時宜を得たものであるように思います。

 今、朝鮮半島は、これまでにないほど緊張が高まっていることはあまり認識されていないかもしれません。

 北朝鮮は昨年11月に延坪島を砲撃し、4人の死者を出しています。また、同年3月には、北朝鮮の魚雷攻撃により韓国の哨戒船が沈没し、46人もの死者・行方不明者を出しています。韓国の人々の忍耐はそろそろ限界に達しており、次に北朝鮮からの直接攻撃があれば、韓国ははっきりと北朝鮮に反撃をしなければならないでしょう。

 ちょうど今、米韓連合軍の定例演習が開始されたところですが、これに対して北朝鮮は反発を強めており、現に今月10日には、延坪島に近い南北境界「北方限界線」(NLL)付近へ2度にわたり北朝鮮から砲撃があったとされています。

 こういう緊迫した情勢の中で、バレンボイムの音楽を通じた平和活動がどれだけの直接的な効力を持つかは分かりませんが、少なくとも朝鮮半島問題に関心を惹き付ける力があることは間違いありません。

 AFPによれば、バレンボイムは韓国でのコンサートの前に、次のように述べています。

"Music cannot solve conflicts but music has the ability to make people interested and passionate about the same thing,"

 ちなみに、海外のメディアでは、バレンボイムノーベル賞にノミネートされたという報道がなされているようです。
http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5iwKlHCm2ufOtt6Tvosjpez941X4Q?docId=CNG.395bec0157ae53758ac65c87b4cf6e70.211
 ノーベル賞にノミネートされるというのはどういう手続きを指すのかがいまいち不明ですが、いずれにしても、生まれ故郷のアルゼンチンなどでは、バレンボイムノーベル平和賞受賞に対する期待感が高まっていることは事実のようです。

 バレンボイムについては、かつて何度かこのブログでも触れましたが、
2009-01-08 - loisir-spaceの日記
2008-01-15 - loisir-spaceの日記
音楽を通じた彼の平和活動には共感をいたします。

 今、バレンボイムほど文化の持つ力を分かっている人物は世界を探してもいないのではないでしょうか。

 今後の活動に期待です。