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「コットンクラブ」★★★★

 1920年代のNYハーレムのコットンクラブを舞台にしたギャングの抗争を描いたコッポラの作品です。激しい人種差別があった当時の社会を生々しく描いています。

 白人のコルネット奏者のディキシー・ドワイヤー(リチャード・ギア)は、あるジャズクラブで爆破事件に遭遇し、偶然にギャングのボスのダッチを救ったことから、ギャングの世界に入り込んでいく。ダッチに呼ばれて参加したパーティーで出会ったのがダッチの恋人のヴェラだった。ヴェラはダッチの愛人であったため、ディキシーに惹かれたものの、ダッチから離れることができなかった。

 やがてディキシーは、コットンクラブのオーナーであるオウニーの紹介でハリウッドに進出し、ダッチの元を離れて人気を高めていく。

 ヴェラはダッチの支援でナイトクラブを持つようになるが、ダッチの元をますます離れられなくなる。

 やがてダッチは殺される。ディキシーとヴェラの間の恋愛に障害はなくなり、2人は共に西海岸に旅立っていく・・・。



 1920年代の好況期に禁酒法の影で多額のお金が動いていた当時のハーレムの雰囲気が良く伝わってくる作品です。白人客専用のコットンクラブで黒人が演奏する様子や、黒人が多くの高級ジャズクラブから閉め出され、黒人のみが集まるクラブで楽しんでいた様子、白人と黒人の混血の微妙な扱われ方など、人種差別をベースに社会が成り立っていたこともよく分かります。また、白人の中でも、アイリッシュやイタリア系など、様々な人種に区分がなされ、それぞれの間の微妙な関係も覗うことができます。

 この作品では、主人公の白人ディキシーを柱とするストーリーと平行して、黒人タップダンサーのサンドマンが激しい人種差別を受けながらも、黒人としてのサクセスストーリーを登っていくストーリーも進んでいきます。

 この2つのストーリーがコットンクラブを舞台に別個に展開していくのですが、できれば、ディキシーのストーリーとサイドマンのストーリーとがもう少しリンクしてこれば、深みのある作品に仕上がったのかな、といく気がします。

 リチャード・ギアもこの作品の配役としてはちょっとスマート過ぎたか?という気もしました。