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自然の猛威と文明社会

 濁った津波が街や田畑を猛烈な勢いで飲み込んでいく光景は、あまりにショッキングでした。押し寄せる津波に対して人々が何も為す術がない状況。。。ちょっと前までは文明社会の営みが行われていた場所が、あっという間に残骸の山になってしまう。。。文明社会が自然の猛威の前では無力であることをこれほどまでにまざまざと見せつけられたことは、人類史上なかったのではないかと思います。それが正に日本で起こってしまったことは、悲劇としか言いようがありません。

 市や町全体が壊滅的な被害を受けたところもあるようですから、これから被害状況は更に拡大していくものと思われます。

 被害に遭われた方々にはお見舞い申し上げるとともに、犠牲となった方々のご冥福をお祈りいたします。

 現時点で最も心配なのは、福島第一原発の状況です。炉心の溶融というのは想定外の事態であり、今はおそらくマニュアルにない対応を迫られているものと思われます。冷却水がなくなってしまうと、炉心の冷却ができなくなってしまい、炉心の温度がコントロールできなくなってしまいます。また、燃料から発生する放射線を遮蔽することができなくなりますので、周辺に中性子が広く飛散し続けることにもなります。

 検知されたセシウム核分裂の結果生じる放射性物質の中でも毒性の高いものですから、こういう物質が大気中に検知されること自体、異常な事態です。

 いずれにしても、原発という最新鋭のプラントシステムでこうした事態が起こっていることは大変ショッキングですし、それだけ今回の地震が異常な事象だったということなのでしょう。燃料がこれ以上破壊されたり、周辺に飛び散らないよう、これからしばらくの間は慎重な見極めと判断が求められてくると思います。

 今後の展開を注意深く見守るとともに、今回の教訓を今後の原子力安全政策に十分反映させることが迫られてくると思われます。

 文明社会は壊れるのも早いですが、逆に文明社会の力を持ってすれば、必ずや迅速な復興も可能となります。これから文明の叡智を結集し、是非ともいち早い復興が遂げられることを望んで止みません。