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「終着駅トルストイ最後の旅」★★★★☆

http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD16518/index.html
 トルストイの晩年を描いた作品です。

 トルストイの晩年、著作権の放棄を主張する弟子のチェルトコフと、著作権を持ち続けること主張する妻のソフィアの対立が顕在化していた。そこにトルストイの秘書としてワレンチンが押し込まれた。

 トルストイは、ソフィアからの愛と弟子の理想主義の間の板挟みに苦しみ、やがて妻と一緒にいることが耐えられなくなり、家出をする。家出の途中の駅でトルストイは体調を崩して駅舎に寝込んでしまう。ソフィアは面会を求めるが、チェルトコフらによって面会を拒絶される。最期の病床でソフィアはトルストイとの面会を果たした直後、トルストイは命を落とした。。。


 この作品では、過度にトルストイの理想化を図ろうとするトルストイの弟子たちに対して、トルストイはもっと自由な愛に寛容であったという構図で描かれています。トルストイが理想と愛情の間に板挟みとなっていく過程と、トルストイの信奉者であったワレンチンとマーシャとの間に愛情が芽生えていく過程が、物語の中で効果的に対比的に用いられています。

 トルストイの葛藤が大変良く描かれていた作品でした。