- 出版社/メーカー: エスピーオー
- 発売日: 2010/08/04
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1作目の「黒馬の哭する館」(METZENGERSTEIN)は、ロジェ・ヴァディムの監督作品。広大な館を相続し、館の中で使用人たちに対して奔放に振る舞うメッツェンゲルシュタイン伯爵令嬢は、近所に住む従兄弟のヴィルヘルムに気を寄せ誘惑するが、ヴィルヘルムは彼女に対して素っ気なく接したため、これを激しく逆恨みしたメッツェンゲルシュタインは使用人に命じてヴィルヘルムの馬小屋を放火させ、馬を逃がそうとしたヴィルヘルムも死亡した。時を同じくしてメッツェンゲルシュタインの館にあった馬の絵が焼けたため、メッツェンゲルシュタインはこの絵の修復を命じる。また、火事の際に一頭の黒馬がメッツェンゲルシュタインの館に逃げ込んできたが、この日以降、メッツェンゲルシュタインはこの黒馬とのみ接して過ごすようになる。メッツェンゲルシュタインは、落雷で発生した草むらの火事の炎の中に突き進んでいく。。。
2作目はルイ・マル監督の「影を殺した男」(WILLIAM AILSON)。冷酷でサディスティックな性格の軍士官のウィリアム・ウィルソンは、幼少の頃から冷酷な行動に出るたびに自分と同姓同名の男が現れて止めに入った。学校で同級生をいたぶっていたとき、大学の医学部の授業で女性を解剖実験台にしようとしたとき、そして軍に入って美女と賭博をした際にいかさまをしていたとき、いずれも同姓同名の男が現れたのだった。ウィルソンは絶えかねてこの同姓同名の男を殺し、そのまま教会に駆け込み神父に懺悔するが、神父はウィルソンの言葉を信じようとせず、ウィルソンは教会の階上から投身する。。。
3作目はフェデリコ・フェリーニ監督の「悪魔の首飾り」(TOBY DAMMIT)。かつて人気を誇っていたが今は凋落してしまったイギリスの俳優トビー・ダミットが、久々にローマに赴き、テレビのインタビューや授賞式に臨むものの、麻薬やアルコールの影響で朦朧とした状況だった。もらったフェラーリで街に飛び出すが、町はずれの橋が壊れていたため立ち往生すると、そこには、それまでたびたび幻覚症状に出て来た鞠で遊ぶ少女の姿があった。パニックに陥ったトビーはアクセルを踏み込んで橋に突っ込んでいくが、手前に張られたロープで首が切断される。少女はその首を拾い上げて微笑んでいた。。。
いずれの作品とも、魂の底を揺さぶるような恐怖感を呼び起こす迫力があります。3作目はとりわけ恐怖感を煽る作品ですが、個人的には1作目と2作目が良くできているように思います。
1作目は、屋敷内の男女が入り乱れた酒池肉林の場面やJ・フォンダの艶めかしいコスチュームが独特のアンニュイな雰囲気を醸し出しています。
2作目も、アラン・ドロンやブリジット・バルドーといった豪華な顔ぶれに加え、狂気的でサディスティックなエロスに満ちあふれ、独特な恐怖感を醸し出しています。
思うに、短編映画の40分程度という長さは、実は観る側の緊張感が持続する適度な時間なのではないかという気がします。3つ合わせて2時間ですが、これが1本の作品だったら、途中だれてしまったように思います。
思いがけず、印象深い映画に出会った感じです。