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映画、書評、ジャズなど

坊ちゃん劇場@愛媛

地域 文化

 愛媛には「坊ちゃん劇場」というきらりと光る演劇の場があります。松山市内から車で30分程度走った東温市というところのショッピングモールの隣に位置しています。
坊っちゃん劇場 - BOTCHAN THEATER
 この劇場では、専属の劇団がロングラン公演を行っています。現在はジェームス三木氏による脚本・演出による舞台「正岡子規」が上演されています。

 私はこれまで演劇とはあまり縁がなかったのですが、この坊ちゃん劇場は地元でも評判が良いこともあり、足を運んでみました。

 ジェームス三木氏が手がけただけあって、大変楽しめる喜劇となっており、最後まで緊張感がとぎれることなく楽しめるものでした。

 やはり生身の人間による演技というのは、映画などとは全く次元の違った迫力があります。ワルターベンヤミンの「アウラ」の概念を持ち出すまでもなく、1回1回の公演がそれぞれ微妙に違った顔を持つわけで、それだけ演じる側の1回1回にかける緊張感の高さも伝わってきます。

 ジャズについても、録音された演奏と生演奏は全く違った赴きがあるように、演劇と映画ではそれぞれ違った魅力があるということがよく分かりました。

 また、演劇は地域の活性化にとっても重要な役割を果たすこともできる余地があるのではないかという気がしました。演劇では実際に役者さんが地元で演技をするわけで、役者さんと地域の人々との間の交流も生まれる可能性があり、そこからクリエイティブな文化が生じるかもしれません。だから、役者さんが地域社会に溶け込みつつ上演活動を行うことが重要なのではないかと思うのです。

 先日、愛媛に平田オリザ氏が来られて講演をされたのを聴きましたが、そのときは演劇の可能性について今ひとつピンとこなかったのですが、やはり実際に見て少々違った印象を持つに至りました。

 ただ、平田オリザ氏の言っていたことで一つ印象に残ったのは、市民参加型と創造・発信型の演劇を区別して、後者の重要性を強調されていた点です。市民参加型のものは他の都市の人たちは誰も見ず、そういうものに対する支援の必要性は薄いというわけです。

 つい先日同じ愛媛で市民参加型のオペラ「ラ・ボエーム」が上演されたのを見ました。八幡浜出身の菊池彦典氏の指揮により、愛媛県出身のオペラ歌手を中心にキャスティングされ、地元の人々も参加した正に市民参加型のオペラでした。

 一流の指揮者による演奏で、世界で活躍されている歌手によるものだけあって、演奏・演技は素晴らしかったのですが、ただやはりこの活動自体は内へも外へも広がっていかないだろうなぁとつくづく感じました。そもそもオペラというのはストーリーが詰まらなく、この「ラ・ボエーム」のエンディングも、ミミが死んでプツンと終わりという何とも興醒めな幕引きだったのですが、それはさておき、オペラと演劇の違いは創造・発信性の有無という点につきるのでしょう。

 地域活性化における演劇の可能性を少し見出すことができた貴重な経験でした。