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映画、書評、ジャズなど

「政治主導とうかつなことを言った・・・」

 MSN産経ニュースで、民主党の枝野氏が「政治主導とうかつなことを言った」と述べたという記事が掲載されていました。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101114/plc1011141745022-n1.htm

 ようやく民主党政権も少し分かってきたのかというのが率直な感想です。

 私は、今の民主党政権の統治機能が損なわれつつあるように見える最大の要因は、はき違えた政治主導にあるのではないかと思います。

 政治家が政権の中枢に入って行政を遂行するべきことは、内閣総理大臣国会議員から選ばれ、閣僚の過半数が国会議員で構成されなければならないことを憲法が定めていることからも明らかです。
 そういう意味では、自民党政権下でも、ほとんどの大臣が政治家だったわけで、行政は重要な政策決定は大臣の決済を経て行われてきたわけですから、政治主導は制度上担保されてきたわけです。

 民主党政権は、そうした制度論を踏み越えて、「政治主導」を政治家と行政組織の間の「対立関係」を前提として捉えてしまったところに、不幸が生じたと言えます。

 例えば会社組織でも、取締役と社員が対立してうまく組織が機能するわけがありません。取締役と社員が良好な関係を構築し、両者の間の信頼関係が醸成されている組織であるに越したことはありません。行政組織であってもそれと同じことです。取締役である大臣・副大臣・政務官の政務三役と事務方が対立し、政務三役が事務方に不信感を持っていたら、組織は絶対に機能しません。それが顕著に表れたのが長妻前大臣がいたときの厚生労働省の機能不全でしょう。

 事業仕分けの発想も、政治主導を「対立関係」を前提として捉えている典型です。事業仕分けは政治家が役人を問いつめることを劇場化したとしか考えられません。本来、事業仕分けをやるのであれば、政治家vs政治家で論争すべきであり、蓮舫大臣が詰めるべき相手は政治家であるはずなのですが、なぜか詰める時だけ役人が指名されるという不可解な形態で行われています。


 少し話が逸れます、先般の尖閣ビデオ漏洩の問題も、政治と役人の間の不信感が根源にあるように思われます。ビデオを公開しない方針に反発した海上保安官が義憤にかられてビデオを漏洩したわけです。

 私も、このビデオを見たいという国民の心情はもちろん理解しますが、しかしながら、私は、この海上保安官の行為は決して肯定されるべきではないと考えます。

 政府部内で違法な行為が行われた場合に、それを内部告発するというのは正当化されます。しかし、本件は、ビデオの非公開が違法とまではいえないわけで、そういう状況の中で、政府が決定した方針が不満な一公務員が、その方針に反して情報を漏洩するということはあってはならないのです。

 この点では、鳩山前総理が本件をクーデタと呼び、谷垣自民党総裁佐藤優氏が二・二六事件を引き合いに出して流出を批判しているのは、正鵠を得ているのです。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/101114/stt1011141824004-n1.htm

 特に、海上保安庁は強力な武器を有する組織であり、その気になればクーデタさえ実施できてしまう可能性のある組織です。そういう組織にあって、違法行為の内部告発ならまだしも、政府の決定した方針がけしからんということで、組織の一員である人物が正義感に駆られて政府の方針に反する情報流出を行った行為を許容してしまえば、将来に大変な悪影響をもたらす可能性すらあります。

 今回、政府がビデオを公開しないという方針に多くの国民が不満に思っていることと、海上保安官による情報流出という行為の正当性は全く別次元の問題であるということは、強く強調しておきたいと思います。

 話は逸れましたが、民主党政権も「政治主導」のやり方を大きく見直し、政治主導というのは「対立」を意味するのではないということを自覚しなければ、政府機能がより一層の機能不全を起こしてしまいかねないのではないかと危惧します。。。