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映画、書評、ジャズなど

マネとモダン・パリ

文化

http://mimt.jp/manet/
 東京駅近くに新しくオープンした三菱一号館美術館に行ってきました。
 レンガ作りのモダンな洋館にある美術館は、端正でこじんまりとした中庭を持ち、大都会のど真ん中にあるという事実を一瞬忘れさせる魅力を持った空間です。

 ここで4月から「マネとモダン・パリ」と題する展覧会が開催されています。マネがスペインにはまっていた頃の闘牛の絵や、パリの人々の姿を捉えた種々の肖像画など、マネの足跡を一通り概観することができる構成となっています。

 パリのカフェで語り合うカップルを描いた《ラテュイユ親父の店》や、闘牛に倒れ壮絶な死を遂げた男を描いた《死せる闘牛士》など、観る側に力強いオーラを放っている絵が数々展示されていましたが、やはりもっとも印象に残る絵は《すみれの花束をつけたベルト・モリゾ》でしょう。

 展覧会会場の解説にも言及されていましたが、この絵は20世紀を代表する知性であるポール・ヴァレリーが絶賛した絵です。

何よりも「黒」が、絶対の黒、喪装の帽子と、この小さな帽子についた顎ひもの黒、そのひもにまとわりついた栗色の髪の毛の房がバラ色に映る、そんなまさにマネならではの黒、それがわたしをとらえて離さない。

ヴァレリー・セレクション〈下〉 (平凡社ライブラリー)

ヴァレリー・セレクション〈下〉 (平凡社ライブラリー)

 モリゾは一見ぼんやりした表情なのですが、観る側を強烈に惹き付ける眼力を持っています。

 ヴァレリーはこの絵の持つ独特の感覚を「詩」という感覚だと表現しています。色彩の不思議なハーモニーとそれぞれの色の力の不協和によって、この作品は共鳴し、神秘性が備わったのだということです。

 この展覧会は7月までやっているので是非ごらんになってください。