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映画、書評、ジャズなど

金沢JAZZ STREET 2日目

 今日は、金沢JAZZ STREETの2日目です。

 ジャズの前に、早起きして金沢市内を散策しました。この時期の朝のさわやかな時間帯の散歩は実に快適です。そして、何よりも、金沢の最大の魅力は、おそらく「歩きやすい街」を実現している点ではないかと思います。

 香林坊の南にある長町武家屋敷跡は、両側が江戸時代を彷彿とさせる武家屋敷の壁に囲まれた真ん中を、きちっと石が敷き詰められた道が走っています。この道を歩くのが何とも心地よいです。これが単なるアスファルトだったら、全く違った感想を持ったことでしょう。

 そして、こうした小道は、細い水の流れに沿っているところが数多く見受けられます。金沢はある意味で、水辺が豊富にある水の街と言っても過言ではありません。香林坊の大通りから一歩奥に入った細い水路は実によく整備されています。水路の両側にこじゃれたレストランが並んでいるなど、歩いているだけでなんだか幸せな気持ちにさせられます。

 それから向かったのは、兼六園。もちろん金沢の定番です。日本三名園の名に恥じず、実によく整備された快適な庭園です。しかも、朝7時から開園しているのがとても素晴らしいことです。朝早くから多くの観光客が訪れていました。


 さて、ジャズの話に戻りますが、まず鑑賞したのは、ベン・ライリー率いるモンク・レガシーセプテットです。
http://www.kanazawa-jazzstreet.jp/event_hc.html
 ベン・ライリーはかつて異彩を放つピアニストのセロニアス・モンクのカルテットに在籍したドラマーで、モンクの逝去後、モンクの音楽を演奏し続けるためのグループを結成しました。杖を突いて登場するなど身体的にだいぶ弱っているベン・ライリーに代わって、トランペットのドン・シックラーがバンドを仕切っているように見受けられます。このほか管楽器としては、テナー・サックスのウェイン・エスコフェリー、アルト・サックスででっぷりした体格のブルース・ウィリアムス、バリトン・サックスのジェイ・ブランフォードが支えます。それに、ベースのキャメロン・ブラウン、ギターのジョン・コーンという面々です。

 この編成を見て誰しも疑問に感じるのは、セロニアス・モンクの音楽を継承するバンドでありながら、ピアノがいないということです。これはどういうことなのでしょうか??つまり、モンクのピアノを4本の管楽器が見事に再現しているわけです。

 私は、セロニアス・モンクのピアノの演奏を聴いても、未だにピンとこないのですが、このバンドの演奏はドン・シックラーの絶妙なアレンジもあり、難解なモンクの曲が自然にスウィングしていて、大変聴きやすかったと感じました。高齢のベン・ライリーは勢いあるプレーこそなかったものの、淡々とした演奏の中に、バンド全体を引き締めるオーラを醸し出していました。こういうモンクの音楽の継承の仕方があるのかと感心してしまいました。

 それから夜の部は佐藤允(ヨシ)彦ピアノソロです。これが実に良かった!
http://www.kanazawa-jazzstreet.jp/event_hc.html
 まずは秋にちなんで定番の♪Autumn Leaves、それからウディ・ハーマンの曲♪Early Autumn、そして日本の同様♪もみじ、それからミシェル・ルグランの曲が♪What Are You Doing The Rest Of My Life?、♪How Do You Keep The Music Playing?、と2曲続きます。モンクの曲♪Epistrophyなども良かったですが、一番良かったのはアンコールの曲♪In The Sentimental Moodです。

 佐藤さんのピアノの持ち味はやはりバラードで存分発揮されるような気がします。往年の経験がバラードでは特に顕著な良さとなった現れてくるのです。とにかく、終わった後は、満足感でいっぱいです。

 さて、これで終わりとなるのですが、さらに次に向かったのは、金沢市内でもっともジャズの盛り上がる場である「もっきりや」に足を運びました。
MOKKIRIYA Web Page

店内はかなりの混雑ですが、金沢JAZZ STREETに集まったミュージシャンたちも何人か飛び入り参加するなど、店内は大いに盛り上がりました。モンクのバンドに参加しているテナー・サックスのウェイン・エスコフェリー、それからドラムの大坂昌彦さんも飛び入り参加し、日本人の飛び入り参加のミュージシャンたちとの間で、息のあったプレーを見せていました。リズム・セクションのピアノ、ベース、ドラムが皆女性というときもあり、金沢のジャズの層の厚さを印象づけられました。

 こういうジャム・セッションではジャズの良さが一番発揮されるといえるかもしれません。言葉が通じなくても、曲さえ知っていれば心が通じ合ってしまうわけです。しかも、事前の打ち合わせなどほとんど必要ありません。年配のミュージシャンから若いミュージシャンまでが皆、即興を交えながら自信に満ちた演奏を繰り広げているのが印象的でした。

 こうして金沢JAZZ STREETの2日目が終わっていったのですが、それにしても、金沢はジャズが良く似合う街です。街の至る所に、ジャズ・セッションができるスペースがあるので、こういう催しにはうってつけの都市です。今では日本の創造都市といえば真っ先に名前が挙がる金沢ですが、こういう意欲的な取組を行っていることは、高く評価できます。

 街のあちこちで開催されているアマチュアのセッションも実にレベルが高いものばかりです。特に目を引くのは、大学のジャズ・サークルの演奏です。私が少し聴いた中でも、京都大学デューク・エリントンの演奏はレベルは相当高いものでした。日本のジャズのレベルが相当底上げされてきていることの表れでしょう。

 「スウィング・ガールズ」のモデルとして有名な高校の女子バンドもかなりレベルの高い演奏を披露していました。

 さらに、金沢市内から少し離れたところにある金沢市民芸術村においては、国内外のアーティストたちが少人数のレッスンを行う企画も催されていました。金沢市民芸術村は365日24時間開放されているというのが売りで、金沢のクリエイティビティを象徴するような施設です。広大な芝生の敷地が広がっていて、古い倉庫を改装したところがおしゃれな工房がいくつも設置されています。夕暮れ時にここにぼーっとたたずんでいるだけで癒されるという感じの空間です。

 明日はEric Alexanderの演奏がありますので、ますます楽しみです。