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映画、書評、ジャズなど

「デルス・ウザーラ」★★★★

デルス・ウザーラ モスフィルム・アルティメット・エディション [DVD]

デルス・ウザーラ モスフィルム・アルティメット・エディション [DVD]

 ソ連の支援によって撮られた黒澤明監督の作品です。「どですかでん」の商業的失敗の後、日本で映画資金を調達することが困難な状況の中、ソ連が救いの手を差し伸べてきたというわけです。

 本作品は、ウラディーミル・クラウディエヴィチ・アルセーニエフの原作を元に映画化されたもので、ウスリー地方の探検の記録です。

 アルセーニエフは最初の探検の際に、この地域に住むゴリド人のデルスと出会います。デルスは天然痘で家族を亡くし、1人で森の中で自然と共生した生活を送っています。アルセーニエフはデルスとの交流の中で、自然を敬う姿勢や自然と共存する知恵を持ったデルスに共感を念を深めていきます。あるときは、アルセーニエフとデルスが2人で探索に出かけ遭難しかけるのですが、デルスは周囲の草木をかり集め、急ごしらえの避難所をこしらえて寒さから身を守ることで、かろうじて死を免れます。

 アルセーニエフは再びウスリー地方に探索に訪れた際、デルスを探し出して、再び共に行動します。しかし、デルスにも年の衰えが迫っており、視力が衰え、自信を失いつつあります。デルスはある日、出くわした虎に対して発砲するのですが、この件を境に、デルスの態度は怒りっぽくなるなど、変化を見せるようになります、

 アルセーニエフはそんなデルスを都会の自宅に連れて行きますが、都会の生活になじめないデルスは再び森林へと戻っていきます。その際アルセーニエフはデルスに最新式の銃を渡すのですが、その銃を狙った何者かによってデルスは変わり果てた姿で発見されるのでした・・・。


 この映画では、大自然の壮大なスケールが極めてよく表現されています。アルセーニエフとデルスが遭難した際、草原に闇が迫り来る場面、湖の氷が気温の上昇によって割れて流れ出していく場面など、よく撮ったなぁという感じがします。

 現に撮影は困難を極めたようで、黒沢監督も撮影が難航する中で、自然を思い通りに撮ろうとしても無理であることを知り、むしろ自然に合わせて仕事をしようと考え方を変えたとのことです。遭難した場面で2人が草を刈るシーンは10日間かけて撮られたとのことです。

 このデルスの自然に対する態度は、何か日本人の深層に残っている感性に通じるものがあるような気がします。そんな点に黒沢監督も惹かれたのかもしれません。