ブレードランナー ファイナル・カット スペシャル・エディション (2枚組) [DVD]
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2008/06/11
- メディア: DVD
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舞台は21世紀初頭のロサンゼルス。人類が発明した人間そっくりのロボット“レプリカント”が宇宙で反乱を起こし、地球に侵入する。レプリカントは外見上は人間そっくりなため、レプリカントであることを見抜くためには、高度な尋問が必要だった。
この地球に侵入したレプリカントを抹殺するために、ブレードランナーが結成され、デッカード(ハリソン・フォード)に任務がくだる。こうして、ブレードランナーとレプリカントの戦いが始まる。
レプリカントに与えられた寿命は4年。彼らはその寿命を延ばすために、レプリカントを創作したタイレル社に接触しようと試みていた。
タイレル社で秘書を務めるレイチェル(ショーン・ヤング)もレプリカントであったが、彼女自身は自分がレプリカントであると知らなかった。彼女にはある人物の過去の記憶が埋め込まれていたので、本人は自分は人間だと思っていた。自分がレプリカントだと知ったレイチェルはとまどいを隠せないが、次第にデッカードとの間に愛情が芽生えてくる。
レプリカントらは、タイレル社の自分たちを創作した人物と対面するが、寿命を延ばすことは不可能だと言われ、彼を殺害する。
デッカードはレプリカントのレイチェルを引き連れて町から逃げることを決意する・・・。
この映画を見ると、“レプリカント”という存在は一体何なんだろうということを考えさせられます。彼らは外見が人間と区別できないだけでなく、場合によっては感情を持ち、人間と恋愛することすらできる。それをなぜ抹殺しなければならないのか?
これは戦前の「優生思想」にもつながっていく発想といえるでしょう。つまり、人間の中にも優れた人種とそうでない人種とがあるのだという考え方で、ナチス・ドイツを始め、我が国でも盛んに議論が行われたものです。
リドリー・スコット監督はもしかすると、こうした「優生思想」に対する疑問をこの映画で提起しているのかもしれません。
映画の中で印象的な点は、未来のロサンゼルスの街の描き方です。何やらナンセンスな日本語の看板などが頻繁に登場したり、お寿司屋のおやじの日本人が登場したり、ずいぶんとアジアの下町的な情緒がふんだんに盛り込まれたイメージです。とりわけ芸者風の日本人女性が「ワカモト」を宣伝する広告看板は映画の中で何度も登場します。アジアのロー・カルチャーによって浸食され退廃していくというのがリドリー・スコット監督のイメージするアメリカの未来都市のイメージなのでしょう。これは大変センセーショナルな描写です。
この映画に対する好き嫌いは人によって激しく分かれているようです。確かに、この映画が作られた当時、この映像を生み出すのは画期的だったに違いありませんが、個人的にはまぁそこそこに興味深い映画といったところでした。