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「007/ロシアより愛をこめて」★★★★

 ジェームズ・ボンドイスタンブールに渡って、ロシアの暗号装置を盗み出すというストーリーです。これまで見た007シリーズの中でも、ストーリーがしっかりしていて、なかなかよくできた作品のように思います。

 犯罪組織スペクターは、ジェームズ・ボンドショーン・コネリー)への怨念を晴らすため、ロシアから寝返ったクレッブ大佐(ロッテ・レーニャ)に対し作戦を命ずる。その作戦は、ロシアの暗号解読装置とクレッブ大佐の美人部下タチアナ・ロマノヴァ(ダニエラ・ビアンキ)の魅力を使ってボンドをおびき寄せる。

 イスタンブールでタチアナと予定どおり出くわしたボンドは、タチアナと共にロシア大使館を爆破して暗号装置を奪い、列車に乗って持ち出しを謀る。しかし、そこには、スペクターのメンバーも乗っており、ボンドから暗号装置を奪おうとする。

 何とかスペクターの追っ手を振り切って、ボンドとタチアナはボートに乗ってイタリアのベニスへと向かう。途中、激しい銃撃戦が繰り広げられたものの、逃げ切った2人はベニスでつかの間のひとときを過ごしていた。滞在先のホテルに現れたのは、メードに変装したクレッブ大佐だった。ボンドとクレッブ大佐は揉み合いになる。タチアナはピストルを手に取る。そして銃口を向けた先は、クレッブ大佐だった・・・。

 組織に従順なタチアナが最後に守ろうとしたのは、愛情を抱いたボンドだった、というところが、この作品の醍醐味でしょう。タチアナが最後ボンドの側に付くであろうことは分かってはいたものの、それでもハラハラして見入ってしまうところが、この作品の魅力の大きさを表しています。

 そして、タチアナを演じるダニエラ・ビアンキの魅力も大変素晴らしいです。さらに、イスタンブールからイタリアにかけての逃走劇のスケールの大きさです。最後は地中海をボートで逃げるなどという映画は、その地理的設定だけでも強く惹かれてしまいます。

 久々に007もいいなぁ、と思ってしまいました。