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映画、書評、ジャズなど

「オール・ザ・キングスメン」★★★☆

映画

オール・ザ・キングスメン [DVD] FRT-027

オール・ザ・キングスメン [DVD] FRT-027

 かつては崇高な理想を掲げていた政治家を志望した者が、権力を手にしたとたんに堕落の道へと突き進んでいく様を描いた作品です。新聞記者という第三者の視線で描かれている点が説得力を持たせています。

 新聞記者のジャック・バードンは、政治家を志していた州の役人だったウィリー・スタークに取材を通じて出会う。弁護士となったウィリーは何度目かの挑戦で州知事に当選し、数々の大規模工事を手がけていく。ジャックはウィリーの参謀となっていた。

 やがてウィリーは数々の汚職を噂されることになる。息子が酒酔い運転で同乗していた女を死なせた際も、飲酒の事実を隠蔽しようとする。女の父親はやがて死体となって発見される。

 やがてウィリーの弾劾裁判が始まる。ウィリーは判事を取り込むために、判事の過去の事実を持ち出して自分を支持するように迫るが、その判事は自殺してしまう。

 ウィリーから病院長に任命されていたスタントンは、ウィリーに対する反感を強め、最後、弾劾裁判でウィリーが勝利を収めたとき、ウィリーを射殺する・・・。


 本作品は、アカデミー賞の作品賞などを受賞した作品であるにもかかわらず、その過激な内容から日本には長らく持ち込まれていなかったようです。今から見ればあまり考えにくいことではありますが。

 この映画の中でウィリーに熱狂する民衆たちの姿を見ていると、アメリカの政治スタイルというのは、今日とあまり変わっていないのだなぁとつくづく思います。選挙をお祭り化するアメリカのスタイルというのは、伝統の希薄なアメリカ社会において、政治を正当化するためのある種の儀礼であるとは思うのですが、そこには悪い面もはらんでいることはおそらく否定できないでしょう。映画の中で汚職まみれの政治家に対して熱狂的な声援を送っている民衆たちの姿は、ブッシュのイラク戦争に対して異常な支持率とどうしてもだぶって見えてしまいます。

 この映画がそんなアメリカ社会の内在する危うい構図までも暴いているとは思えませんが、政治家が汚職への道へ転落していく過程をある程度は生々しく描いているのではないかとは思います。