読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる
映画、書評、ジャズなど

神戸ジャズ探訪(「JAMJAM」&「SONE」)

 土日にたまたま神戸に行く機会がありました。神戸といえば日本のジャズの発祥地とも言われるところです。この機会を逃す手はないということで、2つほどジャズのお店に足を運んでみました。

「JAMJAM」

JamJam - jazz & cafe
 神戸のジャズ喫茶といえばここ「JAMJAM」です。元町駅前のビルの薄暗い地下にありました。実は、ジャズ喫茶に足を踏み入れるのは初めての経験なのです。

 店に足を踏み入れると、薄暗いひんやりとした空間が広がっています。配管むき出しの天井とベージュの殺風景の壁、それは戦時下の防空壕を彷彿とさせます。

 店の奥には、黒い大きな2つのスピーカーがデンと置かれ、そこから爆音とも言うべき大音量のジャズが流れ出ています。正面は赤と青の間接照明がボォーと壁を照らしていて、店の空間をますます異様な雰囲気へと持ち上げています。

 店はリスニングスペースと会話スペースとに分かれており、リスニングスペースには10人程度の客が皆オーディオセットの方を向いてジーッとジャズに聴き入っています。正面に「会話厳禁」という札が掲げられていて、もちろん会話などしている人はいません。これが噂のジャス喫茶のしきたりというものなのかと実感します。

 客の年齢層は20代から70歳近いと思われる方まで様々で、さすがジャズのカバーする年齢層の広さを見せつけられます。この人たちは今は静かにジャズに耳を傾けていますが、おそらく、一旦口を開けば、堰を切ったように熱くジャズを語り出すんだろうなというオーラが醸し出されています。

 それにしても、何と異様な空間でしょうか。ここに来る人たちは、買い物帰りか何かにふとこの店に立ち寄って、しばらく静かにジャズに耳を傾けてると、何かがすーっと解けたような顔をして店を後にします。

 おそらく、ジャズ喫茶というのは、「日常」の中に「非日常」を作る手っ取り早い空間なのではないかと思います。ジャズ喫茶が厳かな雰囲気であればあるほど、「非日常」の経験はより強烈なものとなるのでしょう。ここに来る人の生活の中には、きっとこのジャズ喫茶がうまい具合に埋め込まれ、この人たちの生活に均衡を与えているのではないかという気がしました。

「SONE」

http://www.mmjp.or.jp/sannomiya/sone.html
 北野坂を上っていくと、途中左手にあるのがこの「SONE」です。何とも居心地の良い店です。

 店を入ると、思った以上に広い空間が広がっています。左奥にはバー感覚のスペースが広がり、右手にはグループで食事を楽しめる空間が広がっています。そして、音楽を聴きに来る人たちは、店の中央奥の当たりに席を構えています。

 私が訪れた日は、スティーブ・エヴァンス+御薬袋一男トリオという名称でバンド演奏が行われていました。スティーブ・エヴァンス(Vo,Tp)、フィリップ・ストレンジ(P)、神田芳郎(B)、御薬袋一男(D)といったバンド構成です。

 バンドの演奏はなかなか楽しめるもので、堅実なドラムとベースに加え、ピアノがなかなかの腕を見せてくれ、ボーカル兼トランペットも遊び心満点のエンターテイナーで、十分に堪能できるステージです。ジャズのスタンダードあり、ボサノバありのバラエティに富んだ演奏で、最後に演奏したコール・ポーター作曲の「What Is This Thing Called Love?」はなかなか素晴らしいものでした。

 店の雰囲気は本当にアットホームな感じで、客は真剣に音楽に耳を傾けている人もいれば、離れたところでもっぱら談笑に耽っていたりするなど、それぞれのスタイルで時間を過ごすことができます。しかも、ミュージック・チャージが1000円程度と、東京では考えられない破格の安さです。この値段でこれだけ楽しめる場所はおそらく東京にはないのではないでしょうか。

 こうした雰囲気や値段のせいもあってか、店は客が入れ替わり立ち替わり出入りし、繁盛していました。さすが、日本のジャズの発祥地だけあって、多くの人がジャズに気軽に親しめる環境が整っているなぁという気がしました。

 それにしても、この「SONE」という店は本当に雰囲気の良い店です。また神戸に行ったときは是非足を運んでみようと思います。