- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2008/04/16
- メディア: DVD
- 購入: 2人 クリック: 7回
- この商品を含むブログ (13件) を見る
FBIの訓練生のクラリス(ジョディー・フォスター)は、上司のクロフォードに呼ばれ、凶器的な殺人犯として精神病院に収容されているハンニバル・レクター博士(アンソニー・ホプキンス)との面会を命じられる。その当時、バッファロー・ビルと呼ばれる殺人犯が若い女性を殺して皮膚を剥ぐという事件が立て続けに起きており、捜査に行き詰まったFBIが、レクター博士から何かヒントを得ることを期待して、優秀な訓練生だったクラリスをレクター博士の下に送ったのだった。
頭の切れるレクター博士は、バッファロー・ビルに関するヒントをクラリスに与えるのと引き換えに、クラリスの個人的な情報を教えるよう彼女に要求した。クラリスは、レクター博士に自分の素性を次々と見破られていき、だんだん自分の過去を話し始める。少女時代に自分にとってすべてであった父親が亡くなり叔父の牧場に引き取られたが、子羊の鳴き声に目が覚め、一匹の子羊を抱えて叔父の家を逃げ出したことなどの秘められた記憶をクラリスはレクター博士に話す。レクター博士もクラリスに対して少しずつ手がかりを与えていく。
そんな中、上院議員の娘キャサリンがビルに誘拐される。レクター博士は隙を見て監視の職員を襲い、職員になりすまして精神病院から抜け出す。
クラリスはビルが最初に殺した女性を手がかりにしてビルの居場所を突き止める。クラリスは1人で家の中を捜索し、ビルを撃ち殺してキャサリンを救出する。
クラリスはこの件で表彰される。そんな祝賀ムードの中、クラリスはレクター博士からの電話を受ける。レクター博士はクラリスに羊の鳴き声は止んだかと問う。そして、レクター博士は、精神病院で自分を虐待し続けた精神科医を殺しに向かっていく・・・。
映画の中に登場する「羊」や「蛾」といったキーワードが、映画全体を通して効果的なインパクトを与えており、最後まで飽きさせません。発見された遺体の喉の奥から発見される「蛾」のさなぎは、犯人の変化願望を表している。そして映画のタイトルになっている「羊」は、クラリスの幼少時代の記憶に結びつくものであるわけですが、それがクラリスとレクター博士を心理的につないでいる。この辺の設定は非常にうまくできています。
原作はトマス・ハリスというアメリカの作家によるもので、ハンニバル・レクターを描いた作品のうち2番目に発表された作品です。トマス・ハリスはもともとAP通信などで仕事をされていた方のようですが、マスコミに登場することは少なく、謎に包まれた方のようです。
ただ残念だったのは、ところどころやや非現実的なストーリーが見られたことです。そもそも一訓練生が重大事件の捜査にここまで食い込むという設定自体が少し無理があったのかなぁという気がします。
さはさりながら、アメリカ社会の抱える憂鬱な側面がうまく描き出されており、全体としてよくできた映画ではありました。