渋谷のセルリアンタワー東急ホテルにある「JZ Brat」で、エリック・アレキサンダーとグラン・スチュワートのライブを鑑賞してきました。2人とも若きテナー・サックス奏者で、エネルギッシュなライブが展開されました。
バンドの構成は、エリック・アレキサンダーとグラン・スチュワートに加え、ピアノのハロルド・メイバーン、ベースのナット・リーブス、ドラムのジョー・ファンワーズという構成で、昨年の来日時と同じ構成です。ちなみに、昨年の来日時には「JZ Brat」と「TOKYO TUC」の2回の公演を鑑賞したので、今回で3回目の鑑賞ということになります。
テナー・サックスの2人は極めてクールな人たちで、演奏中はニコリともせずに、黙々と吹き続けます。それに対し、ピアノのハロルド・メイバーンとドラムのジョー・ファンワーズは、頻繁に観客に向けて笑顔を振りまき、ベースのナット・リーブスは飄々とした表情でベースを刻み続け、時折ドラムのジョー・ファンワーズと笑顔を交わすといった感じで、何とも不思議な組み合わせのバンドです。
2人のサックスが素晴らしいのはもちろんですが、このバンドを支えているのはピアノのハロルド・メイバーンであることははっきりと見て取れます。何といってもバンドの中で年齢が1人だけずばぬけて高く、70歳を超えています。しかし、ピアノのタッチは素晴らしく、しかも、他のメンバーの演奏に合わせてピアノをちょんちょんと合わせながら、バンドの演奏をしっかりと統一のとれたものへと束ねているのです。今回改めてその奥深い演奏テクニックに感銘を受けました。
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実は、エリック・アレキサンダーのHPによれば、このハロルド・メイバーンというピアニストは、エリック・アレキサンダーがかつてニュージャージーのウィリアム・ピーターソン・カレッジに在籍していた頃に指導を受けていた人物のようなのです。このバンドの支柱であって当然なわけです。
さて、今回のライブですが、後半に進むにつれて、がぜん演奏はのってきました。エリック・アレキサンダーのワン・ホーンでバラードの演奏は素晴らしかったですし、後半のアップ・テンポの曲では、ドラムとベースの息がぴったりと合って心地よいリズムを刻んでいました。
最後のアンコールでは、一端戻りかけたバンドのメンバーが、エリック・アレキサンダーの最新アルバム「My Favourite Things」にも収められている「Brazil」を演奏しながら戻ってくるという粋な演出がなされ、最高潮に達したところで、ライブは終了となりました。
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こうして久々にモダン・ジャズの正統派のライブを鑑賞したわけですが、即興主体のジャズ・ライブというのは、メンバーの息がぴったり合ったときの快感といったら本当にたまらないくらい魅力的です。思わず「よしっ!」と声をあげたくなってしまうくらいです。今回のライブでもそんな息がぴったりと合った瞬間が随所にありました。
ただ、少々残念なのは、せっかくのツー・ホーンのバンド演奏なのに、あまりツー・ホーンということが生かされていなかったような気がした点です。ツー・ホーンならではのテナーの迫力がもう少し感じられてもよかったかなという気がしました。
とはいえ、やはりこういう正統派モダン・ジャズは生ライブで聴くに限るわけで、満足感に浸りながら週末を迎えることができました。