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「失われた週末」★★★★

失われた週末 [DVD] FRT-139

失われた週末 [DVD] FRT-139

 ビリー・ワイルダー監督のアル中を扱った1945年の作品です。

 売れない作家ドン・バーナム(レイ・ミランド)は極度のアル中で、兄から週末に田舎で暮らすことで酒を断つことを勧められるが、いざ旅立つときになると、兄を無理に外出させ、家政婦の給料をネコババして酒を購入して、バーで酒を飲む始末。

 恋人のヘレン(ジェーン・ワイマン)もドンのアル中と一緒に闘っている。ドンとヘレンは、以前見に行ったオペラでコートの取り違いをきっかけに出会った。出会った当時からヘレンはドンのアル中に気づいていたが、献身的にドンを見守っていた。

 ある日ドンは、知り合いの女性から酒を買うための金を借りた後、階段から転落し、アル中患者の収容所に入れられる。そこでは、発作を起こ妄想を見ているアル中患者らが大勢収容されていた。病院関係者が暴れた患者に気をとられているすきに、ドンは収容所を抜け出した。

 部屋に帰ったドンは、収容所の動物の幻覚に襲われ、大声で叫ぶ。ヘレンが部屋にかけつけて介抱するが、ドンはヘレンのコートを質に出し、代わりに拳銃を手に入れ、自殺をしようとしていた。そんなドンの行動にヘレンが気づく。

 ドンは、この週末に起こった出来事を小説にしようと誓った・・・。


 この作品は、当初は失敗作と見られたものの、結果的には、ビリー・ワイルダー監督はこの作品でアカデミー賞作品賞や監督賞などを受賞しています。

 ビリー・ワイルダー監督は、大変な苦労家だったようです。ドイツに住んでいたワイルダーは、ユダヤ人だったため、ナチスが台頭してくるとフランスに亡命します。その後、英語がしゃべれないままでアメリカに渡りますが、英語のハンディキャップを埋めるのに相当苦労したようです。

 『お熱いのが好き』のようなワイルダー監督のコメディ作品はもちろん絶品ですが、本作品のようなシリアスな作品もなかなか楽しめます。