- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2007/12/07
- メディア: DVD
- クリック: 22回
- この商品を含むブログ (11件) を見る
映画監督のフェラン(フランソワ・トリュフォー)は、ある若い妻が夫の父親と恋に落ちてしまうという映画『パメラを紹介します』という映画を撮影していた。老年の夫婦役は、かつて恋仲にあったアレキサンドル(J・P・オーモン)とセブリーヌ(V・コルテーゼ)だったが、セブリーヌはセリフがなかなか覚えられず、何度も撮り直しする有様だった。
若い夫を演じたアルフォンス(J・P・レオ)は、撮影スタッフのリリアーヌに熱を上げており、撮影中も2人はいちゃついていた。若い妻を演じたジュリー(J・ビセット)は、少し遅れて撮影隊に合流したが、神経衰弱の治療を受けた際の中年の主治医のネルソン(D・マーカム)と結婚しており、ネルソンも撮影現場に来ていた。
ところが、アルフォンスの恋人のリリアーヌは、ある日スタントマンの男と駆け逃亡してしまう。傷ついたアルフォンスは、映画から降板すると言い出してしまう。監督らは必死に彼を説得しようとするが、ジュリーはアルフォンスの部屋で彼をなぐさめているうちに、2人は親密な関係を結んでしまった。しかも、アルフォンスはそのことをジュリーの夫ネルソンにばらしてしまい、ネルソンにジュリーと別れるように促した。傷ついたジュリーは再び神経症を再発させて部屋に閉じこもってしまう。そんなとき、アレクサンドルが自動車事故で亡くなってしまうアクシデントも発生したが、なんとか撮影は無事終了した。
ようやく撮影が終わり、撮影隊は解散していった・・・。
映画監督が自ら出演して映画撮影シーンを作品にしてしまうという斬新な発想には心底感服してしまいました。映画を作る過程自体が作品のテーマになりうるということを、トリュフォー監督は映画撮影を通じてかねがね感じていたのでしょう。現に、映画の中で描かれているちょっとしたエピソードの多くは、トリュフォー監督の映画監督としての経験に由来しているもののようで、アメリカの夜 - Wikipediaにその辺の詳細が詳しく紹介されています。
例えば、猫が思い通りに動いてくれずに撮影をやり直すシーン、ジュリーが特製のバターを要求するシーンなどは、実際の撮影で起こった出来事がモデルとなっているようです。
また、この作品には、『市民ケーン』のスチール写真が登場したり、フェラン監督が注文した本の中にヒッチコックらの本が混ざっていたりするなど、トリュフォー監督の嗜好があちらこちらに埋め込まれており、映画を愛するトリュフォー監督のおちゃめ心がとても温かく感じられました。
この作品では、映画撮影現場のどたばたした雰囲気、個性の強い俳優たちを取りまとめていくことの難しさが描かれているのですが、それ以上に、撮影現場における人間味溢れる模様が強調されているような感じを受け、トリュフォー監督は本当に映画界を愛していたんだなぁと、感じさせられました。