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「アンナ・カレニナ」★★★★

アンナ・カレニナ [DVD] FRT-276

アンナ・カレニナ [DVD] FRT-276

 トルストイの不朽の名作を映画化したもので、私が今回見たのは1948年のヴィヴィアン・リー主演のものです。
 かつてドストエフスキーは、トルストイの『アンナ・カレーニナ』について、「文学作品として完璧なものである。」と評したということですから、本来であれば、まずは小説の方から入っていくべきなのかもしれませんが、とりいそぎ、手っ取り早い映画の方を鑑賞することにしました。


 アンナ・カレニナ(ヴィヴィアン・リー)は、ロシアの政府高官のカレーニンの妻であり、2人の間にはセルゲイという息子がいた。そんなアンナが兄の家に列車に乗って訪れたとき、青年将校のヴロンスキーと駅で出会う。ヴロンスキーには恋人がいたが、アンナに惚れ込んでしまい、その晩のパーティーでは、アンナとヴロンスキーは一緒に踊り、2人の恋仲は急速に盛り上がっていく。

 アンナがヴロンスキーと不貞の関係にあるという噂は夫カレーニンの耳にも届き、カレーニンはアンナにヴロンスキーと会わないよう忠告する。しかし、アンナはもはやカレーニンに対する愛が冷めてしまっており、ヴロンスキーしか眼中になかった。カレーニンはアンナとの離婚を決意し、アンナとヴロンスキーの不貞の証拠を探し出す。アンナとヴロンスキーは2人でヴェネチアに駆け落ちする。

 アンナは息子セルゲイのことが忘れられず、カレーニンに内緒でセルゲイに会いに行くが、カレーニンから厳しく咎められる。

 しかし、カレーニンはアンナとの離婚の決意を翻し、アンナはカレーニンと別れることができない。ヴロンスキーのアンナに対する穏やかな愛も続かず、しかも、イタリアでヴロンスキーはトルコとの戦いに向かうロシア海軍を見かけたことをきっかけに、戦争へ向かう思いを強くする。

 ヴロンスキーから見放され絶望にかられたアンナは、走ってくる列車の前に身を投げ、命を落とす・・・。


 この作品の主演ヴィヴィアン・リーは、私生活でも随分と奔放な恋愛や結婚・離婚を重ね、晩年は結核を始めとする病気に悩まされ寂しく亡くなっています。代表作はもちろん『風と共に去りぬ』ですが、もしかすると、この『アンナ・カレニナ』の方が彼女の私生活により近い作品だったといえるかもしれません。