- 出版社/メーカー: パイオニアLDC
- 発売日: 2001/11/22
- メディア: DVD
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19世紀の日本、渡世人と呼ばれる人々がいた。彼らは刀は差しているものの武士ではなく、元は百姓や町人であったが、戸籍をはずれて、賭博やそれにまつわる種々の犯罪によって生計を立てていた。
この渡世人の世界に入った3人の若者。渡世人は無宿者で、宿に困ると独特の流儀で仁義をきって泊めてもらう代わりに、その家の者から出された一杯のお茶を飲んだら最後、たとえ自分の親分が切り込んできても、親分に刃向かってその家の者のために働かなければならなかった。
3人のうち源太という若者は、渡世人として訪ねた土地で、かつて妻子を置いて家を飛び出した父親に会う。しかし、その父親は見知らぬ女と一緒に住み、しかも、源太らが泊めてもらっている家の者に対して裏切りを働く。そして、源太は、渡世人の流儀に従い、自分の父親を斬り殺すことになる。
その後3人のうちの1人が傷を悪化させて死に、残った2人源太と黙太郎は下総を訪れるが、泊めてもらっている家の者である半兵衛を裏切るか否かで2人の意見が対立する。半兵衛を襲おうとした黙太郎に源太が斬りつけるが、誤って崖下に転落してしまう・・・。
このように、本作品は、渡世人としての義理と自らの出世との間の葛藤を描いたものです。源太は渡世人としての義理を果たすために、自分の父親すら斬り殺してしまうわけです。
“仁義”といえばヤクザの世界を思い出すわけですが、この流儀は、必ずしもヤクザの世界だけの習性というわけでなく、日本人一般の心性を表しているともいえます。源太が実父や仲間を斬ってまで渡世人の恩義に固執する姿は、日本人であれば多かれ少なかれ共感を抱くのではないかと思います。
本作品は、制作費をかけていないことが見え見えであり、エンターテイメント作品としては一定の限界があることも否めませんが、制約の中で精一杯制作された作品といった感じです。