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映画、書評、ジャズなど

「パルプ・フィクション」★★★

映画

パルプ・フィクション [DVD]

パルプ・フィクション [DVD]

 クエンティン・タランティーノ監督の1994年の作品です。パルプ・フィクション(=三文小説)というタイトルが表しているとおり、たわいないストーリーをいくつか組み合わせたという感じの構成で、ときには時制が逆転したりと、タランティーノ・ワールド全快といった感じです。

 冒頭、レストランで思いついたように強盗を行うカップル、そして、ビンセント(ジョン・トラヴォルタ)とジュールス(サミュエル・L・ジャクソン)の2人組のギャングは、盗まれたトランクを取り戻すため、次々と銃で殺していく。ビンセントはギャングのボスであるマーセル・ウォレスから、その妻のミア(ユマ・サーマン)の相手をすることを命じられるが、ミアは薬のやり過ぎで、危うく命を落としそうになる。ウォレスはボクシングの八百長をブッチ・クリッジ(ブルース・ウィリス)に依頼するものの、ブッチはそれを裏切り、自分にかけて大金を手にし、恋人と共に逃亡を図るが、形見の時計を忘れてきたことを忘れ、自分のマンションに戻ったところ、ビンセントと鉢合わせ、ビンセントを殺害する。
 他方、時制は逆戻りし、ビンセントとジュールスは、盗まれたトランクを奪い返して後、車の中で誤って若いギャングを撃って殺してしまい、その後始末に奔走する。それが一段落して2人はレストランに入ったところ、冒頭のカップルの強盗に出くわす。ジュールスはカップルの男から巧みに銃を奪い、聖書の言葉を引用しながら諭した上で、カップルを逃がしてやった・・・。

 まぁ、こんな感じで、ストーリーに何かメッセージが込められているというわけでもなく、たわいないストーリーがつなぎ合わされた感じの映画で、タランティーノ監督のチャレンジ精神が発揮されているといえます。

 正直、このタランティーノ・ワールドになじめる感性があるかどうかが、この映画を楽しめるか否かの決定的な分かれ目となるのではないかという気がします。波長がぴったり合えばおそらく文句なく楽しめてしまうような類の作品で、そういう意味では熱狂的な信奉者がいることも理解できます。

 ただ、既成の映画の観念を打ち壊そうとするいわば“脱構築”的な試みはそれはそれで評価されてもよいのだと思いますが、打ち壊した後に何を築き上げ、見る側にタランティーノ監督のメッセージを伝えられるようなスタイルを確立するのは、もう少し後になってからかなぁ、という感じもします。

 それにしても、タランティーノ監督は1963年3月生まれですから、この映画が公開されたときは30歳を超えたくらいということになります。その年でこれだけの映画を作ってしまうところは、やはりただ者ではなかったのだなぁ、という気がします。