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映画、書評、ジャズなど

「巴里のアメリカ人」★★★☆

巴里のアメリカ人 [DVD] FRT-080

巴里のアメリカ人 [DVD] FRT-080

 1951年度のアカデミー賞を総なめにしたミュージカル映画です。ジョージ・ガーシュインの曲をフィーチャーした作品です。

 ジェーリー・ミリガン(ジーン・ケリー)は、絵を描くために軍人を退役し、パリに赴いて創作活動をしていた。そして、ピアニストであるアダム・クック(オスカー・レヴェント)、アダムの友人のアンリ・ボウレル(ジョルジュ・ゲタリ)が友達であった。

 そんなジェリーの絵に注目した金持ちの独り身の女性ミロ・ロバーツは、ジェリーのパトロンとなることを買って出る。ミロはジェリーの絵を売り出すために尽力するが、ジェリーはといえば、ミロと一緒に行ったカフェで見つけたリズ(レスリー・キャロン)に一目惚れし、ちょっかいを出すようになる。リズは当初ジェリーのアタックを拒否するが、次第に心を開くようになる。

 実は、リズにとってアンリは恩人であった。そして、アンリがアメリカに演奏に赴くことが決まった際、これを機会にリズとアンリは結婚しようという話になった。リズはジェリーに別れを告げる。

 ジェリーはミロに対して手のひらを返したように接近する。そして、ジェリーとミロは2人そろってパーティーに出席するが、そこに、アンリとリズも2人で参加していたのだった。

 ジェリーとリズは、一旦は最後の別れを誓うが、リズは最後ジェリーの下へ戻ってくる・・・。

 20世紀前半のパリは、エコール・ド・パリと呼ばれた画家達がパリに終結して、個性的な絵を描いていた時代で、この映画でもそんな画家を主人公に据え、パリという街が芸術家に対して与えている包容力がうまく生かされています。

 ピアニストのアダムが、オーケストラを指揮し、自ら楽器も奏でている情景を空想しているシーンは、個人的には一番好きなシーンです。決して生活は恵まれていないけれども大きな夢を持っている芸術家の心をうまく表現しているように思います。

 そして、ラスト間近のミュージカルのシーンは、やや冗長的な感がするものの、それなりに見応えはあります。特にジーン・ケリーという人は、『雨に唄えば』もそうですが、こういうミュージカル映画には本当にぴったりの役者で、映画の中でも断然光っています。

 ただ、見ていて違和感を感じてしまうのは、ストーリー展開がやや不自然な点と、しかも、リズの配役がちっとも魅力的でなく、ジェリーがこれほどまでにリズに入れ込んでしまう理由が今ひとつ伝わってこないという点は否めません。逆に、ジェリーからの誘いを拒絶していたリズがジェリーを好きになってしまう点も、やや飛躍があるように感じます。

 そうはいっても、ただ純粋に楽しめる、という意味では、この時代のアメリカ映画はよくできているなぁ、という気がします。