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「007/私を愛したスパイ」★★★☆

 私は個人的に007シリーズを見るのを何となく避けてきたところがあったのですが、いざ見てみるとそれなりに楽めます。

 この作品は、ソ連の潜水艦が忽然と姿を消してしまった謎を追い、ボンドとKGBの女スパイがタッグを組んで敵に挑む大作で、何と言ってもアクション・シーンの迫力がすごいです。

 アルプスで休暇を取っていたボンドのところに緊急連絡が入り、ボンド(ロジャー・ムーア)は急遽エジプトに飛ぶことになる。ソ連潜水艦が消息を絶った事件の鍵を探るためであった。他方、ソ連KGBのスパイのアニヤ(バーバラ・バック)も同じく潜水艦の謎を追うためにエジプトに来ていた。2人は潜水艦の謎の鍵を握るカール(クルト・ユルゲンス)の拠点に2人で侵入することになるが、カールの差し向けた刺客からたびたび命を狙われる。そして、実は、かつてボンドが殺害したKGBのスパイはアニヤの恋人だったことも判明する。アニヤは任務が終わったらボンドを殺すことを誓う。

 実は、消息を絶った潜水艦は、カールのタンカーの中に吸い込まれていた。そして、カールは潜水艦に核爆弾を積んで、米ソに核による攻撃を仕掛けようとしていたのだった。

 ボンドとアニヤはカールのタンカーに侵入し、間一髪で核による米ソに対する攻撃を防いだ。そして、アニヤをカールの拠点から救い出す。

 任務を終えた2人は、愛の営みに興じていた・・・。


 この作品は、最初から最後まで、過剰なまでに仰々しいアクション・シーンの連続で、圧倒されてしまいます。冷静に考えれば極めてバカバカしい演出なのですが、そういうシーンもここまで大胆に見せつけられてしまうと、あっけにとられてしまい、気が付くと引き込まれてしまっています。

 冷戦期において、イギリスのスパイとソ連の女スパイが共同して任務を遂行するという設定自体、極めてナンセンスなのですが、そんな設定も、アクション・シーンの迫力で気にならなくなってしまいます。

 冒頭のアルプスで敵の追跡を受けているボンドが崖からパラシュートで降下するシーン、ヘリコプターからの攻撃を巧みにかわすシーン、そして車が海中に潜って追跡をかわすシーン、どれをとっても最高のアクション・シーンでしょう。

 見終わって、なんとなく爽快感を感じる作品でした。