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「郵便配達は二度ベルを鳴らす」★★★

郵便配達は二度ベルを鳴らす [DVD] FRT-048

郵便配達は二度ベルを鳴らす [DVD] FRT-048

 私が見たのは、テイ・ガーネット監督によるバージョンです。

 放浪好きなフランク(ジョン・ガーフィールド)は、求人募集を見てハンバーガーショップに立ち寄り、採用される。主人のニックは中年男であったが、その妻コーラ(ラナ・ターナー)は若き美貌の持ち主で、ニックとの結婚生活に不満を感じていた。フランクはコーラに惚れ、いきなり強引にキスをする。コーラはそんなフランクの振る舞いに戸惑いを隠せないが、次第にフランクの虜になっていく。

 徐々に愛を深めていったフランクとコーラは、ニックの殺害を計画する。最初は、ニックが2階の風呂場にいるところを、コーラが外から梯子を使って殺害する計画だったが、偶々居合わせた猫が感電して停電が発生し、殺害には至らなかった。

 二度目の計画は、3人が乗った車が湖に転落して、ニックを殺害する計画だった。計画通りニックは死んだものの、フランクも誤って怪我をし、しかも、殺害現場を目撃されたため、2人にニック殺害の嫌疑がかけられる。

 裁判では、殺害容疑を否認するフランクに対し、地方検事はコーラの単独犯だとして、フランクにコーラを殺人未遂で告訴するように促す。フランクに訴えられたことに切れたコーラは、検事に対して、2人が共謀してニックを殺害したことを自白するが、その検事は実はコーラの弁護士の部下だった。結局、判決は、2人の故意による殺人は認められず、コーラが過失致死を認める形で終わった。

 その後、フランクとコーラは、ニックの店を発展させ、店は繁盛するが、コーラの弁護士の元部下が騙して作らせた自白調書を使って金を恐喝に来る。また、2人は互いに疑心暗鬼となるが、かつて遊んだ浜辺で愛を確かめ合い、ようやく信頼関係が戻ったところで、フランクの誤運転によってコーラは事故死する。

 そして、フランクはコーラの殺人の罪に問われることになる。フランクはコーラ殺害の罪を否認するが、検事からは、どっちにしろニック殺害の罪で再逮捕されるのだから同じだと言われる。

 フランクは言います。

「一度道を誤るともう戻れない。」
「判決が出てから、来るはずの手紙を待つような気分だった。」
「郵便配達のベルは2回だ。コーラにも俺にもベルは2回鳴った。2度目のベルはどこにいても聞こえる。」
「俺とコーラのために祈ってくれ。」

 ここでようやく映画のタイトルの意味が何となく分かったような感じになります。

 この映画、何度か映画化されているようで、ルキノ・ヴィスコンティ監督によるものの方が評価が高かったりするようですので、そちらを今度見てみたいと思っていますが、正直、今回見たバージョンは、最後の方はかなり冗長な感じになってしまっており、脚本という面では今ひとつの感じを受けました。

 ただ、ラナ・ターナーの艶やかな魅力は十分堪能できることと思います。