- アーティスト: 皆川博子
- 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
- 発売日: 1995/09/08
- メディア: VHS
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
舞台役者の十郎兵衛(真田広之)は、舞台の上で竹梯子を支えていた際、誤って竹梯子を自らの足の甲で受けてしまい、舞台に上がることができなくなってしまう。ちょうどその舞台を見ていた大道芸の集団を率いるおかん(岩下志麻)は、十郎兵衛を大道芸の集団に誘うが、十郎兵衛は舞台に対する熱意を捨て切れず、舞台の絵師を手伝っていた。
一方、浮世絵の版元の蔦屋重三郎(フランキー堺)は、幕府が風紀規制を強める中、人気浮世絵師の山東京伝の絵が売れなくなり、しかも、抱えていた人気浮世絵師の歌麿がライバルの版元に鞍替えしてしまったことから、役者絵(芝居に出演している役者の絵で、芝居を生で見られない人も役者絵を見て楽しむことができた。)に生き残りの道を探っていた。そんなとき、十郎兵衛の絵が目に留まり、蔦屋重三郎は十郎兵衛を“写楽”として売り出すことにした。
こうして写楽の風変わりな絵は人気を博すことになるが、他方で、写楽を良く思わない役者や絵師も多くいた。十郎兵衛は歌麿によって写楽であることを突き止められ、花魁の娘(葉月里緒奈)とともに江戸から逃亡することをそそのかされたが、途中で捕らえられてしまった。
こうして、写楽は登場から1年も満たずに世間から忘れられてしまうのだった。
この作品では、江戸の絢爛さが非常によく描かれており、そんな場面を眺めているだけでも見応えがあります。そして、同時代の有名人である葛飾北斎、十返舎一九、滝沢馬琴らが顔を出したりして、楽しませてくれます。
ちなみに、写楽の正体は誰かについては、未だに確固たる説はなく、謎のままのようです。週刊アーティストジャパンの東洲斎写楽の号(2007.2.27)によれば、写楽の正体については、大きく次の3つの説があるようです。
1.写楽を能役者斎藤十郎兵衛とするもの
2.写楽を当時著名の画家や文化人(山東京伝、蔦屋重三郎など)の仮名・変名とするもの
3.写楽を斎藤十郎兵衛以外の無名の特定人に当てるもの
この映画は1.の説に依拠していることは言うまでもありません。
写楽についての空想は尽きませんが、この映画もそんな空想をより一層掻き立ててくれます。