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「ウォルター少年と、夏の休日」★★★★

 2人の大叔父が住む農場に預けられたウォルター少年と大叔父との間の交流を描いたほのぼの系映画です。

 基本的なストーリーはシンプルなのですが、なかなか構成がよくできた映画です。

 原題は「SECONDHAND LIONS」(中古のライオンたち)ですが、多くの人たちが指摘しているように、邦題よりも原題の方が明らかに映画の意図が現れているように思います。「LION」と複数形になっているところがポイントで、邦題ではこの映画の主役が取り違えられてしまっているような気がします。

 2人の大叔父ハブとガースは、今では日々農作業などをして過ごす老人だが、何やら大金を隠し持っているらしいとの噂があった。そして、2人はかつては大活躍していたという話をウォルターは聞かされる。2人の話によれば、かつて2人がヨーロッパを旅行した際に、フランスで拉致されてアフリカに外人傭兵として送られてしまう。そこで、兄のハブはある部族の姫であるジャスミンの侍女を助けたことをきっかけとして、ジャスミンと恋仲になる。ところが、この姫には他の部族長の許嫁がすでにおり、2人の仲は様々な妨害にあう。許嫁の部族長は多額の懸賞金をかけてハブの身柄を確保するが、実はその懸賞金を手にしたのは、弟のガースだった。ハブは今でもジャスミンのことを忘れられずに、毎晩のように池を見つめて思い出している。

 こんな2人の過去の武勇伝が真実であるかどうかは、その内容があまりにできすぎた話であり、しかもメルヘンチックなので、映画の途中までは見ている側としても半信半疑なのですが、最後、2人が亡くなった時に明らかになります。この点が、この映画が単調なものとなっていない所以といえます。

 言ってみれば団塊の世代のファンタジー映画といった感じで、大変後味のよい映画でした。