- 出版社/メーカー: ファーストトレーディング
- 発売日: 2006/12/14
- メディア: DVD
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映画の冒頭から、ナレーションとともに森の中の道をカメラが進んでいき、マンダレーの屋敷にたどり着くシーンは、いきなり観る者を映画の中に引きずり込みます。いかにもヒッチコックらしいカメラワークです。
マンダレーの屋敷の主であるマキシム(ローレンス・オリヴィエ)は、妻を亡くしたばかりの時期に知り合った家政婦の若い娘(ジョーン・フォンテイン)と結婚し、マンダレーに連れて帰る。そこで新妻を待ち受けていたのは、マキシムの前妻レベッカの影だった。
前妻が嫁入りのときから使用人を務めてきたダンヴァース夫人は、新婦に様々ないやがらせをする。仮面舞踏会を開催した際は、新妻のコスチュームが前妻のレベッカのお気に入りと同じになるように誘導し、新妻に恥をかかせる。
レベッカの死には元夫のマキシムしか知らない秘密が隠されており、それが徐々に明かされていく。レベッカは、周囲からは美しく尊敬を浴びていた女性であったが、実は夫との関係はうまくいっておらず、不倫を重ねていた。そして、癌を患っていたことが判明する。それがレベッカの死を解明するきっかけとなっていく。
以上がこの映画のストーリーですが、この映画で光っているのは、何と言ってもその見事なカメラワークと、そして場面にぴったりとマッチした音楽です。登場人物の顔にアップでカメラが迫っていき、その映し出された表情とバックの音楽だけから、その登場人物の考えていることが観る者にクリアに伝わってくるような場面が多々見られます。見事なカメラワークで最後まで観る者をハラハラさせ続けるテクニックにおいて、ヒッチコック比肩する者はあまり見あたらないように思います。
この映画のキーポイントとなる女性であるレベッカの姿が全く出てこないというのも、観る側にとっては逆にレベッカの幻像に対する想像力をより一層かきたてるのに大いに貢献しているように思われ、効果的な演出となっています。
モノクロの画像が一層の恐怖とスリルを生み出しており、全く古さを感じさせない、そんな素晴らしい映画です。