- 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
- 発売日: 2006/12/08
- メディア: DVD
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現実とばかり思っていた世界が実は虚構だった、という設定の映画です。
21世紀初頭に人工知能が開発され、やがてコンピューターが人間を「栽培」するようになる。そして、コンピューターが人間を制御下において電池に作り替えるために作られた世界が「マトリックス」です。それは、電池にされた何も知らない人間達が暮らす理想郷なのです。
主人公ネオ(キアヌ・リーブス)は、マトリックスから人類を解放する救世主として、モーフィアス(ローレンス・フィッシュバーン)によって選ばれ、人間をこのコンピューターの手による虚構の世界から救い出します。
ネオ「これは、、、現実じゃないのか。」
モーフィアス「現実とは?君は現実をどう定義する?味覚や嗅覚などの五感で感知できるものが現実だというのなら、その現実は君の頭脳が解釈した電気信号に過ぎない。」
このマトリックスの世界は、今話題の「セカンドライフ」を彷彿とさせます。バーチャルな世界で自分のアバターを操作するというものは、だいぶ前からチャット空間などで存在していましたが、この「セカンドライフ」は、単にバーチャルな世界であるのみならず、その中でリンデンドルという通貨を使って取引をしたり、あげくはサイバーセックスさえできてしまうというわけで、従来のバーチャルな世界よりも一層現実の世界に近づきつつあるわけで、この「マトリックス」の設定により近づいているといえそうです。
この「セカンドライフ」がさらに現実の世界に近づいていけば、生活の大半をバーチャルな世界で過ごすという人々も多く出てくるかもしれません。今でも、やりようによっては、セカンドライフからの収益で生活できてしまう人もいるわけで、そうなれば、現実の世界で労働する必要さえなくなるわけで、他人とのコミュニケーションもバーチャルな世界での付き合いのみに限定してしまうことさえできてしまいます。
マトリックスでは、人工知能が人間をバーチャルな世界に押し込めてしまうのに対し、実際には、人間が自らバーチャルな世界に逃避しており、この点はマトリックスでも想定できなかった事態が生じているともいえるわけですが、現実と虚構の世界の区別が溶解してしまうことの恐ろしさを予言している点で、この映画はやはり偉大なのかもしれません。