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「バルカン超特急」★★★★

バルカン超特急 [DVD] FRT-035

バルカン超特急 [DVD] FRT-035

 ヒッチコックの映画をたくさん見たわけではありませんが、私の見たヒッチコックはどれも期待を裏切ることなく、わくわくとさせてくれます。ヒッチコックのイギリス時代の代表作ともいえる本作も、例に漏れず素晴らしい作品でした。

 バルカンの仮想国からロンドンに向かう列車の中で、主人公の女性アイリスの前の座席に座っていた婦人ミス・フロイが突如として列車の中から消えてしまう。アイリスはミス・フロイを探すが、他の乗客に聞いてもそんな女性は始めからいなかったと口をそろえる。アイリスの唯一の味方は、前の日にホテルでアイリスの部屋に押しかけた男ギルバートだけだったが、2人はミス・フロイがこの列車の中にいることを確信し、ミス・フロイを救出する。

 実は、ミス・フロイはイギリスのスパイだった。ミス・フロイを追う集団は、列車はミス・フロイをイギリスに入国するのを拒むために、列車を引き込み線に引き入れ、激しい銃撃戦が繰り広げられる。ミス・フロイは決死の脱出を図るため、アイリスらに暗号が含まれた曲を教える。その後、アイリスらは外務省に暗号を伝えに行ったが、肝心の曲を忘れてしまう。しかし、外務省の部屋からその曲の旋律が聞こえてきた。それをひいていたのは・・・。

 思わずあっと声を上げてしまうラストのシーンはもちろんのこと、窓ガラスに残された「FROY」の文字や窓にへばりついたティーバッグからフロイが実在する人物であることを確信する仕掛けなどは、いかにもヒッチコックらしさが出ています。

 何十年も昔の映画であることを少しも感じさせないところが、ヒッチコックのすごさです。