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「スパルタンX」★★★★

  

スハ?ルタンX [Blu-ray]

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スペインのバルセロナを舞台にしたジャッキー・チェンの1984年の作品です。楽しめるコメディ・ストーリーと、ジャッキー・チェンやユン・ピョウのアクション・シーンが大変楽しめる作品です。

 

トーマス(ジャッキー・チェン)とデヴィッド(ユン・ピョウ)は、ワゴン販売車を使って商売をしている。

精神病院に入院しているデヴィッドの父親は、グロリアという女性と付き合っているが、グロリアにはシルビアという美人の娘がいた。

シルビアには窃盗癖があり、追われる身となってトーマスらの家に転がり込んできた。美人が家に来て浮かれるトーマスとデヴィッドであったが、まんまとお金を盗まれてしまう。

トーマスとデヴィッドはシルビアを雇って仕事を続けていたが、そんな中、シルビアはある一団に誘拐される。トーマスらの友人の探偵の男も、謎の一団からの依頼でシルビアを追っていた。

実はシルビアは裕福な伯爵の妾の娘であり、莫大な遺産相続を受けることとなっており、相続争いから追われていたのだった。

トーマスとデヴィッドは大格闘の末、シルビアを救出した。。。

 

 

ストーリーは適当という感じですが、とにかくアクションシーンのレベルが高いですね。ベニー・ユキーデという本物の格闘家との対決シーンがありますが、ジャッキー・チェン自らも一番気に入っていたアクション・シーンだったそうです。

 

純粋に心から楽しめるコメディ作品でした。

 

「二ツ星の料理人」★★★☆

 

2016年に公開された作品です。ミシュランの星の獲得を目指し、再起を図る料理人の挫折と悟りを描いた作品です。

 

料理人のアダムは、一流の腕を盛りながらも、粗暴な行動がアダとなり、有名店を追い出されたが、3年後にまた料理の世界に舞い戻り、新しい店を出すことになる。

開店に向け、一流の支配人や女性料理人を強引に集め、開店にこぎつけるが、傲慢さから、スタッフが付いていけない有様。

ある日、ミシュランの調査員らしき客が来たため、普段以上に力を入れて料理に手をふるうが、かつて恨みを買ったスタッフの一人の裏切りで味を台無しにされ、あえなく失敗に終わる。

アダムはしばらく挫折を荒れた日々を送るが、ミシュランの調査員と思われた客が実はそうではなかったことを知る。

再び料理を再開したアダムは、もはやミシュランの星を目指す考え方を改めた。。。

 

 

ストーリー的にそれほど凝った感じはなく、だいたいこうなるだろうなという想定の範囲内の展開だったため、やや平板な感を受けました。

タイトルからして、もう少し料理の醍醐味を味わえる作品かと思いましたが、料理はあまりフューチャーされていなかったのが、やや残念ではありました。

「アメイジング・スパイダーマン」★★★★

 

ご存知人気シリーズの2012年のリブート作品です。スパイダーマンというと何かチープな作品であるかのような先入観に囚われてしまいがちですが、本作は大人でもしっかりと楽しめる作品でした。

 

高校生のパーカーは、幼くして父親が失踪し、叔父の手によって育てられていた。パーカーは、父親が生物学者のコナーズ博士と共に研究をしていたことを知り、コナーズ博士のもとを訪れるが、そこで一匹の蜘蛛に首を噛まれ、とてつもない能力を手にすることになる。

コナーズ博士のもとでは、同じ高校に通うグウェンが実習をしており、パーカーはグウェンに思いを寄せていた。

パーカーはコナーズ博士に一つの数式を教えたことで、コナーズ博士は爬虫類の再生能力を活用した凄まじい薬品を開発に成功する。

パーカーは育ての親の叔父が殺害されたのを機に、手に入れた能力を使い、蜘蛛男のレオタードを着て、スパイダーマンとして悪党の退治を開始する。

グウェンの父親は警察幹部だったが、スパイダーマンを悪者と決めつけ、その逮捕を組織に命ずる。

そんな中、コナーズ博士は自らの体で薬品を試してしまい、凶暴な爬虫類に変身して、人々を恐怖に陥れた。パーカーは爬虫類と化したコナーズ博士に勇敢に対峙する。

グウェンの父親も亡くなる間際にようやくスパイダーマンが正義の味方であることを理解するが、パーカーに対し、グウェンに近づかないように言い残して絶命する。

スパイダーマンは無事爬虫類と化したコナーズ博士を退治した。。。

 

 

最後、グウェンの父親の遺言に従ってその葬式に顔を出さなかったパーカーに対し、グウェンが許しの笑みを浮かべるシーンが、何とも心地よい後味を残してくれています。

私はサム・ライミ監督による前シリーズを見ていないので、その比較はできませんが、極めて分かりやすいストーリーで、頭を使わわずに純粋に楽しめる作品であり、飛行機の中でボーっと見るにはうってつけの作品でした。

「ポリス・ストーリー2」★★★★

 

ポリス・ストーリー2 九龍の眼 デジタル・リマスター版 [DVD]

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ジャッキー・チェン主演のシリーズの第2弾です。前作に引き続き、ジャッキー・チェンのアクションが冴え渡った作品です。

 

前作で麻薬王チュウの逮捕に貢献したチェンであったが、派手にやりすぎた罰として交通警察の現場に配転となる。

チェンにはメイという恋人がいたが、チュウの部下たちはメイに執拗に嫌がらせを続け、怒ったチェンはチュウの部下たちと派手な喧嘩をしてしまう。署長から再三にわたって注意を受けたチェンは、警察を辞めてメイとバリ島に旅行に行くことにした。

しかし、その頃、爆弾による脅しでお金を要求する事件が起こる。バリ島に向かう飛行機に乗り込んだ直後のチェンは署長らから急遽呼び出され、捜査への協力を依頼された。

 

チェンは爆弾の製造者を突き止め、アジトに潜入する。メイは誘拐されて工場に連れ込まれていた。爆弾を巻きつけられたチェンは、犯人たちの言う通りに現金を取ってくるが、その後犯人を裏切って振り切る。メイも巻き込んでの爆弾工場での壮絶な攻防の末、工場は炎に包まれた。チェンとメイは間一髪脱出を果たす。。。

 

 前作についてはこちらを参照下さい。

 

 

本作でもチェンは随所で信じられないアクションを見せています。爆弾工場でのアクションは火薬を用いたもので、相当リスクが高かったと思われます。

最後は二人が工場から脱出したところで終わってしまうのですが、もう少し後日談が続いても良かったように思いました。

 いずれにしても、アクションのみならずストーリーも含めてよく出来た作品でした。

 

「シンシナティキッド」★★★★

 

シンシナティ・キッド [DVD]

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スティーブ・マックィーン主演の1965年のギャンブル映画です。

キッド(スティーブ・マックィーン)は、ニューオリンズでポーカーで敵なしの賭博師だった。そこに、ランシーという有名な賭博師がやってくる。

キッドはランシーとの一戦に挑む。多くの住民たちが固唾を飲んで見守る中、参加者たちは次々と脱落していき、やがてキッドとランシーの一騎打ちとなる。時々休憩を挟みながら対戦は続く。

場を仕切るシューターは、キッドに有利なイカサマを持ちかけるが、キッドはこれを拒否。

結局、最後、ランシーがロイヤルストレートフラッシュでキッドを破る。。。

 

 

最初から最後までポーカーの試合三昧なのですが、それでも観るものを離さない魅力がこの作品にはあります。

キッドにはクリスチャンという健気な恋人がいましたが、一時、シューターの美人妻がキッドに擦り寄り、キッドも心が緩んでしまいます。しかし、キッドが勝負に敗れて一文無しになった時に駆け寄ってきたのはクリスチャンでした。

スティーブ・マックィーンの渋さももちろんかっこいいのですが、このクリスチャンの健気さもこの作品の魅力の一つでしょう。

シンプルだけど心に残るいい作品でした。

 

「くちづけはタンゴの後で」★★★☆

 

 1996年公開の作品です。この時代を象徴するかのような甘いメロドラマで、今の時代の目線で見ると、やや馴染めない面があることも否めません。

 

田舎からNYにやって来た18歳のコニーは、最初に出会ったスティーヴという男の虜になってしまい、同居を開始する。しかし、コニーが妊娠したことを知ったスティーヴは、コニーを家から追い出して、別の女と同居を始める。

大きなお腹を抱えて途方に暮れたコニーは、街をさまよった挙句、間違ってボストン行きの列車に乗り込んでしまう。もちろんチケットは持っていないのだが、そんなコニーを助けてくれたのが、ヒューという男だった。ヒューは新婚の妻で妊娠しているパトリシアを実家に連れていく途中だった。

しかし、そこに悲劇が起こる。3人が乗った列車が大事故を起こしてしまったのだ。ヒューとパトリシアは命を落としたのだが、コニーは生き残る。しかし、コニーは病院でパトリシアと間違えられていたのだった。

お腹の子供は無事出産。ヒューの母親は孫との対面を楽しみにしていた。ヒューの実家は大金持ち。コニーは流れに身を任せてヒューの実家へ。そこにいたのは、ヒューと瓜二つの双子の弟ビルだった。

ビルは当初、コニーに不信感を抱き、コニーが何かを隠しているのではないかと疑っていたが、次第にコニーに好意を抱くようになる。

そんなコニーの生活を知ったスティーヴは、コニーたちからお金を巻き上げようと脅しに来る。憤ったコニーは、モーテルに泊まっていたスティーヴを殺しに向かうが、スティーヴは既に殺害されていた。

コニーとビルの結婚式の当日、警察がやって来たが、そこで判明したのは、殺人犯はコニーがスティーヴの家を出ていった後にスティーヴが付き合っていた女だった。。。

 

 

トーリーがあり得ない設定だというのは映画作品としてはよくある話ですが、この作品が今ひとつしっくり来ない理由は、ビルがコニーに好意を寄せるようになった背景がどうも説得力がない点に尽きるように思います。

コニーは大富豪のヒューの実家に入りますが、粗野なふるまいや言動を繰り返し、着飾ってもさほど美しさや上品さが生まれているわけでもなく、しかも、自分がパトリシアだと嘘をついているわけで、どう見ても、ビルがコニーをどうしようもなく好きなる理由がないのです。

だから、ビルとコニーがタンゴを踊っているシーンも、本来は美しいクライマックスのはずなのですが、どうもしっくりこなかったというのが本音です。

 

この作品の一番の見どころは、ヒューの母親を演じるシャーリー・マクレーンが孫を抱きかかえながら♪On the Sunny Side of the Streetを歌うシーンでしょう。


Shirley MacLaine - On the sunny side of the street.wmv

 

「ノートルダムのせむし男」★★★★

 

ノートルダムのせむし男 FRT-033 [DVD]

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ヴィクトル・ユーゴーの小説を映画化したものです。

醜い容姿の鐘楼守カジモドがジプシーの女性に恋をする物語です。

 

カジモドは中世フランスのノートルダム寺院に寝泊まりして日々鐘を鳴らす役目を負っていた。そこに、ジプシーの女のエズメラルドがパリにやって来て、ノートルダム寺院に逃げ込んできた。

カジモドは王に近いフロロ伯爵からの命でエズメラルドをさらおうとしたところ、詩人のグランゴアルがそれを見つけ、将校のフィーバスに助けられた。

その後、カジモドは広場で長時間さらされる刑に処せられるが、そんなカジモドにやさしく水を与えてくれたのがエズメラルドだった。

エズメラルドはフィーバスに惚れ込んだが、それに嫉妬したフロロは、エズメラルドを一緒にいたフィーバスを殺害する。しかし、殺人の嫌疑をかけられたのはエズメラルドだった。

エズメラルドは裁判にかけられたが、有罪で処刑されることに。

エズメラルドが処刑される直前、カジモドはロープをつたってエズメラルドを救出し、聖域であった寺院の中に連れ込むことに成功する。

グランゴアルは、当時開発されたばかりの印刷機の力で、エズメラルドの救出を企てる。乞食たちの集団も寺院に押しかけ、カジモドは塔の上から応戦する。

こうした、エズメラルドの罪は晴らされ、グランゴアルと結ばれる。

カジモドは一人、再びノートルダム寺院に残された。。。

 

 

カジモドのエズメラルドに対する献身的な救援がとても共感できます。特に、カジモドがロープを使ってエズメラルドを救出するシーンは、とても感動的です。

 

フランスといえば、近代的な人権思想が生まれた国のイメージが強いですが、中世にさかのぼれば、ジプシーに対する差別がはびこり、公衆の面前で野蛮な刑が執行されるなど、人権重視の社会からはほど遠い状況であったことが、赤裸々に描かれています。

 

それにしても、撮影の壮大なスケールには圧倒されます。制作されたのが1939年ですから、なおさらです。

 

大変楽しめる作品でした。